立憲民主の新年挨拶回り、労組など新年会をはしご
左翼系団体の基軸政党に
「右でもなく左でもなく前へ進む」と立憲民主党の枝野幸男代表は中道をアピールした。「新しい選択肢を掲げたい。一緒に進んでほしい」と衆院選最後の訴えをした昨年10月21日、地元さいたま市でのことだ。
その後どうか。同党ホームページのニュースを見ると、枝野氏は5日に「連合2018新年交歓会」「私鉄総連2018年新春旗開き」、9日に「日弁連2018年新年挨拶交換会」「運輸労連新春交歓会」、11日に「日教組『新春のつどい』」、12日に「自治労新年交歓会」に出席。
福山哲郎幹事長が7日に「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」に出席。近藤昭一副代表が9日に「JR連合2018年賀詞交歓会」に出席。16日に枝野氏と福山氏が「退職者連合新春の集い」「日本生協連・コープ共済連・医療福祉生協連2018年賀詞交歓会」に出席……。一緒に進んでいるのは「右でもない」のは確かである。
福山哲郎幹事長が出席した集会は、「『安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会』と『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会』の共催で開催され」たという。両実行委員会の代表は一人の人物、自治労の福山真劫共同代表だ。
福山真劫氏にはもう一つ、フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)共同代表の肩書がある。平和フォーラムの前身は1954年に結成した憲法擁護国民連合(護憲連合)。戦後の冷戦期にマルクス・レーニン主義が学生・労働運動を風靡(ふうび)し、左翼運動は共産党か非共産党かに分かれ、後者の多くは選挙で社会党を支持した。護憲連合は長らく社会党直系の運動団体だった。
しかし、政界再編の90年代に入り社会党は社民党に党名変更したが、同党を集団離党した議員らが民主党を結成して先細りになった。護憲連合など運動団体も再編成し99年に平和フォーラムが発足した。共同代表は他に原水爆禁止日本国民会議議長の川野浩一氏、日教組の藤本泰成氏が務め、自治労、日教組、私鉄総連などが加盟する。
これら旧社会党系の流れを汲(く)む団体や労組は、平和フォーラムで立憲民主党を支持政党の「基軸」に位置付けて支援を始めている。
福山真劫共同代表は、民進党が分裂した衆院選の対応について「フォーラム平和・人権・環境は、改憲勢力に対抗する野党勢力が混乱する事態を受け、『従来の選挙闘争から一歩前に出る』として、『立憲民主党を基軸に社民党を支援して戦う。市民連合に結集して野党共闘を戦う』と決定し、市民連合、立憲ネット、その他の組織と連携して戦いました」と、社民党機関誌「月刊社会民主」12月号「『安倍9条改憲NO!』3000万署名で改憲勢力に対抗しよう」の記事で報告している。
躍進した代わりに立憲民主党は「左でもなく」とはいかず、護憲、反核、安保法廃止など左翼路線のレールの上を走るだろう。左翼運動団体は「下部構造は上部構造を規定する」とばかりに運動に巻き込み影響力を行使するのだ。
編集委員 窪田 伸雄