金正恩政権の属性と恐怖統治


韓国紙セゲイルボ

韓米同盟の信頼強化が必須

 金正男(キムジョンナム)暗殺事件は金正恩(キムジョンウン)政権の恐怖統治の断面を見せており、その意味で北朝鮮政権が相変らず不安定でいつ崩壊するか分からないと見るのも無理はない。

金正恩(右)と金正男

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(右)と金正男氏(AFP=時事)

 だが、金正恩政権は簡単には崩壊しない。北独裁者の場合、労働党高位官僚、人民軍将軍など少数の側近の支持だけを掌握しておけば、北朝鮮統治に全く問題がない。金正恩は忠誠競争に没入した追従勢力に富と権力を着実に配分しさえすればよい。時々、側近の何人かを無慈悲に粛清して、空席に新しい追従者を満たし、側近間の忠誠競争に火をつけさえすればよい。

 こういう独裁者の属性を理解するなら、対北朝鮮政策について、少なくとも3種類の事項を考慮しておくことができる。

 まず最初に、金正男毒殺事件が金正恩政権の不安定、すなわち崩壊の可能性を見せる証拠と誤認してはならない。北核廃棄と韓半島安定のための政策は金正恩政権が安定的に維持されているという前題で準備されなければならない。もちろん早期崩壊を含んだ多様なシナリオも準備するべきだが。

 二番目、金正恩にとって核兵器開発は政権維持のために必須である。忠誠競争する追従勢力も同じだ。彼らは金正恩が健在でこそ富と権力を享受できる。金正恩よりさらに多くの富と権力をより安定的に提供してくれる新しい指導者が現れない限り、金正恩に対する忠誠は変わらないだろう。

 万一、トランプ米政府が金正恩に核兵器開発をしなくても、引き続き統治でき、側近も富と権力を享受できる案を提示するならどうか。米政府が北朝鮮と国交正常化すると同時に、北政権に対する安全保障を約束し、これを中国・ロシア・日本などが保障するならば、金正恩政権が核兵器開発をあきらめるかも知れない。もちろん韓国政府にとっては当惑する状況にはなる。

 三つ目、北独裁政権は韓国や米政府を甘く見る場合、いつでも核実験、大陸間弾道弾、潜水艦発射弾道弾、中距離弾道ミサイル試験発射、はなはだしきは局地的挑発行為まで簡単に行う。金正恩がこれ以上誤認しないように、挑発行為がある場合には即座に強力に報復しなければならない。

 トランプ政府がスタートした以後、ワシントン政界では北核施設に対する打撃など多様な対処案が出ている。このような時であるほど韓米同盟の信頼強化が必須だ。

(金宇祥(キムウサン)延世大教授・前韓国国際交流財団理事長、2月19日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。