「民進」に参院選総括、敗北認め「共闘」は維持
批判より対案説く蓮舫氏
民進党の機関紙「民進プレス」(8・19)に「野党連携は一定の成果/市民中心の新しい流れ」との見出しで参院選総括が載った。冒頭で「結党後、初の国政本選挙となった第24回参院選において、民進党は改憲勢力3分の2阻止と与党の改選議席過半数割れを目指したが、いずれも達成することはできず敗北した」と負けを認めている。
敗因は「力不足」。2004年参院選と比べ「党の現状はまだそこには至っていない」と党勢回復の遅れを指摘し、「東高西低」「大阪の苦境」「若年層への働き掛け」が「大きな課題である」としている。「自民党が民共批判を繰り返した」という「野党・市民運動との連携」は見出し通りの評価で、「基本的枠組みは維持しつつ、さらに検討する必要がある」としている。
同紙8月5日号は、「岡田代表が次期代表選不出馬を表明」の記事を2面で小さく扱った。岡田克也代表は東京都知事選でも共産党と共闘し、担いだ鳥越俊太郎氏の敗色が濃厚になった投票日直前の7月30日に自ら代表職の幕引きをした。岡田氏に代わって同紙1面を飾ったのは、肩書通り蓮舫代表代行。山尾志桜里政調会長と「第24回参院選挙を語る」と題する女性コンビの対談だ。
参院選東京選挙区で112万票のトップ当選を果たした蓮舫氏は、9月の代表選に立候補を表明し、代表就任は秒読み段階とみられている。「蓮舫・民進党」になった場合の変化を対談の同氏発言から占うと、アプローチにある。
「演説は批判から入るという野党ぐせが付いている議員が数多くいます。批判は共感を呼びません。私は今回、徹底して批判をしませんでした。評価をした上で対案を出し、どちらかを選んでくれと伝えました。これは私の得票につながっていると思っています。民進党が次に生まれ変わるとしたら、すべての国会議員と候補予定者が、自身の演説を見直すことです」
ただ、蓮舫氏の選挙は6人区の東京で、注目された1人区と事情は違う。1人区で民進党は、批判にかけて“右”に出る者がない共産党と一体となり、安倍政権批判に拍車を掛けた。
蓮舫氏は、「野党は安保以外で何があるのかと考えたとき、野党共闘のデメリットはあったと思います」と言及。衆院選では「小選挙区になりますから、そこで何を訴えていくかをあらためて考えなくてはいけません」と、政権選択に向けて批判以外に語れる政権構想の必要性を説いている。
一方、同紙3~4面には「激戦を終えて」と題して神奈川、青森、福島、北海道、宮城、山形、大分、新潟、三重などの選挙区当選者が選挙戦を振り返り、「野党」「市民」など共産党とは言わない表現で共闘を評価した。
が、共産票を借りて当選した現実の前に「蓮舫・民進党」は、どう野党連携の練り直しを図るのか。対談で山尾氏が評価した「市民が主体的に声を上げて政治を動かそうという新しいエネルギー」を、共産党は党綱領に謳(うた)う統一戦線だと明言した。小選挙区の連携は高くつくかもしれない。
解説室長 窪田 伸雄