鳩山元首相の問題発言
鳩山由紀夫元首相は政界引退後、海外に行くたびに日本の国益に反するような発言を繰り返している。16日から2日間の日程で開催された北京・精華大学での「世界平和フォーラム」でも問題発言が飛び出した。
共同通信によると、鳩山元首相は中国メディアとの質疑のなかで、南シナ海をめぐるオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決(中国の主権を否定)について「日本や米国は基本的に静観すべきで、中国やフィリピンに圧力をかけて仲裁判断を受け入れるよう促すべきではない」と述べ、さらに「当事者間の対話と協力での解決を見守るべきだ」と指摘した。
一方、安倍晋三首相は15日、中国の李克強首相とモンゴルの首都ウランバートルで会談した際、「法の支配と紛争の平和解決が重要だ」と強調した上で、仲裁裁判所の判決を受け入れるよう求めた。
李首相は強い不快感を表明したが、安倍首相の発言は、今後の東シナ海での中国の動きを牽制する上で、日本の国益に合致するものだった。
鳩山元首相の発言と安倍首相の発言とを比較するまでもなく、世界中が中国に対し、仲裁裁判所の判決を受け入れるべきだと思っているはずだ。
南シナ海の問題で中国の味方をしてくれる国はどこもない中、鳩山元首相の発言は、首相経験者という自身の置かれた立場を理解していないとしか言いようがない。鳩山元首相がこの問題で、中国を擁護するような発言を繰り返すことは、日本国民に対する裏切り行為そのものである。
鳩山元首相に申し上げたい。南シナ海に続いて、東シナ海が「中国の海」と化すような状態になっても、中国の立場を擁護する発言をするのですか。
先月、中国海軍の艦船が尖閣諸島周辺の接続水域に侵入したことは記憶に新しい。中国は日本の度重なる抗議を無視し、東シナ海の日中中間線付近でガス田開発も続けている。
鳩山元首相の発言は、日本国民の生命と安全を脅かすものであると私は思うが、読者の見解は如何に。
(濱口和久)