自衛官の結婚と国防

 自衛隊が日陰者扱いされていた時代には、自衛官を結婚の対象と考える若い女性は少なかった。

 しかし最近は、自衛隊の国内外での活躍により自衛官と結婚したいという若い女性が増え、自衛官とのお見合いパーティーは、どの会場も盛況を呈している。自衛官とのお見合いパーティーを番組にして、ゴールデンタイムに放送している民放もある。

 「自衛官は特別職国家公務員であり、給料が安定しているから」という理由で、結婚を希望する若い女性もいるかもしれないが、「草食系」男子とは違って、頼りがいのある「肉食系」男子への憧れから、自衛官との結婚を希望する若い女性が多いようだ。

 加えて、自衛隊の社会的地位が向上したことも、大きな要因だろう。

 自衛隊の任務の特性上、日本に働きにきている中国人女性(スパイの疑いのある中国人女性)と自衛官との結婚が問題視されたことがある。

 中国人女性との結婚の背景には、自衛官の結婚難があった。

 特に艦艇勤務の時間が長く、女性と知り合う機会が少ない海上自衛官は深刻だった。

 両親が中国共産党幹部の女性と結婚したり、結婚までいかなくても、ハニートラップに引っかかって、自衛隊の内部情報を中国人女性に渡していた海上自衛官のケースもあった。

 通常、外国人女性と結婚する場合、諸外国では軍を退職しなければならない。日本の自衛隊は退職する必要はないが、「秘」扱いの多い部署の勤務からは外されることになる。スパイの疑いのある中国人女性と結婚する場合にはなおさらだ。

 いまだに人数は少ないが、外国人女性と結婚する自衛官がいる。

 その場合、諸外国の軍と同様に、自衛隊も退職させる制度を導入するべきではないか。

 一方、若い女性が動機はどうであれ、自衛官を結婚の対象と考えるようになってきたことは、日本の安全保障を考えるうえで、プラスに働くに違いないと私は思う。

(濱口和久)