米副大統領 、「中国は攻撃的」と強硬姿勢


香港や尖閣、経済で是正要求

 ペンス米副大統領は24日、ワシントンで演説し、中国による知的財産権侵害やウイグル族弾圧などの人権問題、尖閣諸島周辺などにおける挑発的な軍事行動について「一段と攻撃的になり、不安定な事態をもたらしている」と非難。香港の反政府デモについて、「われわれは香港の人々と共にある」と擁護するとともに、中国の介入を牽制(けんせい)した。

ペンス米副大統領

4日、ワシントンで演説するペンス米副大統領(AFP時事)

 ペンス氏による対中演説は、強硬姿勢を鮮明にした昨年10月に続き2回目。ペンス氏は「米国はもはや経済的関与だけで共産国家中国の権威主義体制が自由で開かれた社会に転換できるとは期待していない」と述べ、中国に行動の是正を促すため、軍事面や人権問題を含め包括的に圧力をかける姿勢を示した。

 香港デモに関してペンス氏は、「われわれを鼓舞し、数多くの米国人から祈りと尊敬を受けている」と指摘。その上で「抗議する人たちに暴力を用いれば、貿易交渉を妥結することは難しくなるだろう」として、中国に介入を自制するようくぎを刺した。

 また、米プロバスケットボール協会(NBA)のチーム「ヒューストン・ロケッツ」の幹部が香港の反政府デモを支持するツイートを投稿した後、釈明に追い込まれた問題について、「NBAは言論の自由を封じ、(中国の)完全子会社のように振る舞っている」と批判。「米企業は、国内外で(自由や人権尊重など)米国の価値観を擁護するべきだ」とし、中国による「検閲」の圧力に屈しないよう求めた。

 台湾情勢をめぐっては、中国の「小切手外交」により、今年9月にソロモン諸島とキリバスが相次いで台湾と断交するなど、蔡英文政権に圧力を加えていると問題視。

 その上で、国際社会に対して「台湾に関与することは平和を脅かすことではない。むしろ、台湾が民主主義を受け入れたことは、中国のすべての人々にとってよき道標になると固く信じる」と訴えた。

 さらに、中国が沖縄県尖閣諸島周辺に60日以上連続で公船を派遣したとして、「隣国への対応はますます挑発的になっている」と非難。また、国内のキリスト教牧師を投獄したり、100万人以上のウイグル族を投獄していると糾弾した。

 一方、来月のアジア太平洋協力会議(APEC)首脳会議でトランプ大統領が中国の習近平国家主席と会談することを念頭に、「米国は中国の発展の封じ込めを目指しておらず、指導部との建設的な関係を望んでいる」とも表明。

 ただ、その関係は「公平性と相互尊重、国際的な商業ルールに基づく」ものだと牽制した。

(ワシントン 山崎洋介)