米政権、通話記録「隠蔽」か
ウクライナ疑惑 告発文書が公表
トランプ米大統領が民主党のバイデン前副大統領に関する捜査を求め、ウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけたとされる問題で、疑惑の発端となった内部告発文書が26日、公表された。トランプ氏が電話会談でウクライナに2020年米大統領選挙への干渉を求めたとするとともに、通話記録の隠蔽(いんぺい)を図ったと指摘した。
告発文書は同日、下院情報委員会が公表した。それによると、トランプ氏が職権を利用して、外国に2020年米大統領選への介入を求めたという。また、ホワイトハウスの法律顧問の指示で通話記録が機密情報を扱う別のコンピューターシステムへ移された。
同文書は、情報をもたらした数人のホワイトハウス関係者は電話会談の内容に「ひどく動揺していた」と指摘。「一連の行動は、ホワイトハウス当局者が会話の重大性を理解していたことを示す」としている。
民主党のペロシ下院議長は「これは隠蔽工作だ」と主張。告発文書が弾劾に向けた調査の焦点となると述べた。
一方、ホワイトハウスのグリシャム報道官は同日、告発状について「間接的な情報や記事の切り抜きの寄せ集め以上のものではない」とし、トランプ氏には「何も隠すべきものはない」と主張した。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、トランプ氏は同日、米国連代表部職員に「誰が内部告発者に情報を提供したのか知りたい。まるでスパイだ」と述べ、情報提供者を探し出し、厳しく処分する考えを示唆した。
同紙によると、内部告発者はホワイトハウスに一時勤務していたウクライナの専門家であった中央情報局(CIA)の男性職員で、「複数の高官」から情報を得たとされる。
(ワシントン 山崎洋介)