韓国にGSOMIA破棄の見直し要求


米国防総省高官 問題解決へ対話促す

 シュライバー米国防次官補(アジア太平洋安全保障担当)は28日、米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)で講演し、韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告したことについて「韓国が直ちにGSOMIAに復帰し、合意を更新することを求める」と述べ、見直しを要求。また、日韓両国が問題解決のための対話を行うよう促した。

エスパー国防長官(左)とダンフォード統合参謀本部議長

28日、ワシントン近郊の米国防総省で記者会見するエスパー国防長官(左)と米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長(EPA時事)

 シュライバー氏は韓国の文在寅政権によるGSOMIA破棄の決定について「安保環境より国内政治を優先させたとみられる」と指摘。日韓摩擦は中国とロシアを利するだけだと強調し、破棄の決定が「北東アジアで直面する安全保障の問題に関する文政権の深刻な思い違いを反映していることを懸念する」と述べた。

 シュライバー氏はまた、GSOMIAについてこれまで日韓と協議を重ねてきたが、「更新しないという実際の決定について(韓国から)事前通告を受けなかった」と不満を示した。

 その上で、日韓両国が「違いを克服するために有意義な対話を行うことを求める」と述べ、問題解決のための建設的な協議を行うことを求めた。

 一方、エスパー国防長官は同日の記者会見で韓国によるGSOMIA破棄通告について「非常に失望している」と表明。短期的には北朝鮮、長期的には中国の脅威に日米韓が連携して取り組むために「重要な軌道に迅速に戻ることを期待する」と述べた。

 ダンフォード統合参謀本部議長は同じ記者会見で、GSOMIA破棄通告について「今のところ軍事作戦への影響は見られないが、エスパー長官の失望を私も共有する」と表明した。

(ワシントン 山崎洋介)