中国「1000人計画」 FBI警戒強める


 米国の大学などで中国人研究者らが補助金詐欺で訴えられる事例が相次いでいる。背景には、海外の中国人の中から優秀な人材をリクルートするために中国政府が開始した「1000人計画」があるとみられ、連邦捜査局(FBI)は、知的財産が流出する可能性があるとして警戒を強めている。

研究者通じ知的財産流出

 米テキサス大学のフェン・フランクリン・タオ教授が21日、中国の大学で雇用されていることを隠しながら、テキサス大学での研究に違法に数万㌦の補助金を受けていたとして、詐欺罪で起訴された。

 これまでにも中国人研究者らが、研究費不正取得で起訴されており、タオ容疑者は、懲役30年、罰金100万㌦が科せられる可能性がある。

 アナリストらは、中国政府が米国の技術、情報を盗み出すための大規模な計画の一環として、米国の大学や研究機関に送り込む研究者の数を増やそうとしていると指摘する。

 米元情報高官のニコラス・エフティミアデス氏によると、米国内の中国人研究者は約30万人。同氏はワシントン・タイムズに対し「このような事例は広範囲に及ぶ。連邦政府内の機関が、捜査を開始し、大学に目を向けるようになったのはごく最近のことであり、今後さらに増加する」と指摘した。

 さらに、1000人計画と補助金詐欺は、学者、実業家らが関与する中国の「社会全体」の取り組みの一環だと主張、「この脅威への米国の対応は非常に遅い」と懸念を表明した。

 レイFBI長官は7月、上院での証言で、FBIの捜査で、この計画によって知的財産が中国に流出した例が複数、見つかっていると指摘、「皮肉なことに、補助金などの形で、米国が(中国)経済の再生を事実上支援している」と警鐘を鳴らした。

 今年に入って、バージニア工科大学のイエン・パーシバル・ツァン教授が、すでに中国で終了していた研究で補助金を使用し、詐欺罪で有罪判決を受けた。

 タオ、ツァン両者は、1000人計画に参加していたことが分かっている。中国政府は、この計画について、国外で研究を行う中国人研究者らとの関係を維持するためのものと説明しているが、米政府は、外国から知的財産と技術を窃取するためのものだと主張している。

(ワシントン・タイムズ特約)