宇宙防衛へ新指針が必要


米宇宙軍次期司令官 中露に対抗訴え

 統合軍として新設される米宇宙軍の司令官に指名されているジョン・レイモンド大将は4日、上院での公聴会で、ロシアと中国が宇宙進出を進めており、従来の宇宙防衛指針では、宇宙空間での米国の優位性を維持することはできないと、米露に対抗する新たな指針の必要性を訴えた。

 レイモンド氏は、現在の米国の宇宙防衛指針は「宇宙は安全な領域」という前提で作られたものだが、中露の宇宙での能力強化を前に「それではもう不十分」と主張、「衛星を打ち上げ、軌道に乗せ、運用するだけでなく、それらを守り、戦うことができるようにしなければならない」と、宇宙防衛政策の転換を訴えた。経済協力開発機構(OECD)によると、中国の宇宙開発予算はロシアを上回るものの、米国の年間480億㌦には及ばない。

 しかし、米国防総省は今年の中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書で「中国の宇宙開発は依然、急ピッチで進められている」と指摘、米国との差は、中国の宇宙軍事技術の開発によって急速に縮まっていると危機感を強めている。

 トランプ大統領は昨年、陸海空軍などと同格の「宇宙軍」の創設を命令、現在、インド太平洋軍やサイバー軍のような統合軍としての発足の準備が進められている。

(ワシントン・タイムズ特約)