移民受け入れ「能力」重視、米大統領が新政策発表


 トランプ米大統領は16日、ホワイトハウスで演説し、移民の受け入れについての新たな政策を発表した。学歴や高い専門能力を持つ人を積極的に受け入れ、その代わりに家族や親族との関係に基づく移民を減らす方針を示した。野党・民主党はこれに強く反発する一方、トランプ氏は2020年の大統領選や議会選で争点化する姿勢を示した。

トランプ米大統領

16日、ワシントンのホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領(AFP時事)

 トランプ氏は演説で、「われわれは移民のための扉を開き続けるが、その多くは高い能力を持ち、米国に利益をもたらす移民でなければならない」と訴えた。

 新たな方針では、グリーンカード(永住権)発給による移民の受け入れは、現在の年間約110万人のまま維持。全体の66%を占める米国内に家族や親族がいる移民希望者への発給を減らす一方、学歴や能力に基づく受け入れを12%から57%以上に引き上げる。

 日本も対象となっている現在21%を占める抽選によるグリーンカード発給は廃止する方針。また、移民希望者に対しては、英語力の試験を義務付けるとした。

 一方でトランプ氏は、幼少時に親とともに不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者の処遇については言及しなかった。下院で過半数を握る民主党は、こうした若者への救済措置を優先するよう訴えている。

 今回の新方針が議会を通過する見込みは薄いとみられる。民主党は「否決されるのは必至だ」(ペロシ下院議長)などと反発。米国民への雇用確保のため合法移民の総数削減を求める保守派から反対の声が上がることも予想される。トランプ氏は演説で、「もし民主党が政治的理由などでこの米国の利益に基づいた計画を受け入れなければ、選挙後に実現させる。われわれは下院を奪還し、上院を確保し、もちろん大統領選にも勝つだろう」と強調した。

(ワシントン 山崎洋介)