ベネズエラ反政府デモ、治安部隊が発砲し女性1人死亡


親政府派デモと衝突も

 野党指導者グアイド国会議長による事実上のクーデター未遂が発生したばかりの南米ベネズエラで1日、同氏の呼び掛けによるメーデーの反政府デモが国内各地で行われた。現地からの報道によると、首都カラカスの反政府デモではデモ隊と治安部隊が衝突、女性1人が治安部隊の発砲により死亡したほか多くの負傷者が出たもようだ。

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1日、ベネズエラのカラカスで、デモ活動を展開する反体制派(AFP時事)

 死亡したのは27歳の女性で頭部に銃弾を受けて病院に運ばれたが、搬送先の病院で死亡したという。現地人権団体が発表した。

 また、カラカスでは、反米左派マドゥロ大統領を支援する親政府派デモも行われ、反政府デモ隊との衝突も起こった。デモ隊同士の衝突や治安部隊の鎮圧により、少なくとも46人が負傷した。

 グアイド議長は、30日に首都カラカスの空軍基地で国軍の造反を促したが、国軍幹部らは同調せず失敗した。グアイド氏は、政権打倒を目指して2日目を迎えたメーデーに合わせ、過去最大規模の反政府デモを行うことでマドゥロ政権打倒を図った。しかし、政権側の鎮圧などを受けて厳しい状態にある。

 グアイド氏は、デモに参加した支持者らに対して「(メーデーを)労働者が祝えることは何もない」「ベネズラの人々が自由を勝ち取るまでデモを続けよう」などと訴えて、マドゥロ政権に対抗し続けることを宣言した。

 一方、マドゥロ大統領は、30日にテレビ中継でクーデター鎮圧を宣言。この日はツイッターを通じて「我々はメーデーを祝おう、クーデターは鎮圧し米国の内政干渉も拒否した」と述べ、政権維持に向けて自信を示した。ベネズエラは、深刻な経済危機下にあり、独裁的な政治を続けるマドゥロ政権の支持率は下がっている。グアイド氏は「暫定大統領」として米国など世界50カ国以上から支持を受ける。対するマドゥロ氏は、国軍の掌握に加え、中国やロシア、キューバからの軍事・物資両面の支援を受けることで権力基盤を維持している。

(サンパウロ 綾村悟)