新STARTの延長へロシアと協議
米国務長官 中国の参加も必要
ポンぺオ米国務長官は10日、上院外交委員会の公聴会で、2021年に期限切れを迎える米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)について、「トランプ大統領は、しっかりとした軍縮協定であれば、締結すべきだと明確に述べている」と指摘。ロシアと延長に向けた協議を始めていることを明らかにした。
ポンぺオ氏は新STARTについて「米国とロシアはともにおおむね順守している」と評価し、延長に前向きな姿勢を示した。一方、「すべての当事国が含まれる必要がある」として、2国間条約にとどまらず、中国に参加を求めることが必要との考えも示した。
また、ロシアが核兵器を搭載可能な無人潜水艇や極超音速兵器の開発を進めている状況を踏まえ、「技術は進んでいる」とも指摘。「21年以降の状況に適合する軍縮条約にすべきだ」と述べ、協定の範囲を広げる可能性にも言及した。
オバマ前政権時代の11年に発効した新STARTには、戦略核弾頭の配備上限を1550発に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの運搬手段を800発にそれぞれ制限することが盛り込まれている。
米国は2月、ロシアの違反を理由に中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄すると発表。トランプ氏はこれまで、再来年に期限を迎える新STARTをオバマ氏による「一方的な取引」と批判してきており、延長されるかどうかが焦点となっている。
(ワシントン 山崎洋介)