チリ裁判所 教会に賠償命令
元神父の性的虐待事件
南米チリのサンティアゴ控訴裁判所は27日、同国のカトリック教会に対し、フェルナンド・カラディマ元神父(88)から性的虐待を受けた被害者男性3人に対して、それぞれ1億ペソ(約1600万円)の賠償金を支払うように命じた。また、裁判所は、カトリック教会が性的虐待の事実を調査しようとせず、逆に隠蔽(いんぺい)を図って被害者を傷つけたと断定した。判決を受けて、犠牲者の1人は「どれほどの権力を持っていようと、性的虐待を行えば裁かれる必要があることがはっきりとした」とのコメントを発表した。一審では教会側が勝訴していたが、今回の判決を受けて「判決を通じて被害者の救済が進むことを望む」(サンティアゴ教区)と上訴しないことを決定したという。
事件は、1970年代から80年代にかけて、当時、チリの著名人だったカラディマ神父が、教会に所属する未成年の少年らに対して性的虐待を行っていたというもの。虐待被害者家族らの訴えを受けて、バチカンは同神父に対して2011年に対する処分を実施した。ただし、その後、バチカンがカラディマ神父の弟子にあたる神父を司教に任命、さらにその神父が性的被害事件の調査に圧力をかけたことが発覚したことから、カトリック教会に対する批判が高まっていた。
フランシスコ・ローマ法王は、昨年1月、チリを訪問して被害者らに対して謝罪、9月にはカラディマ神父の地位を剥奪していた。また、昨年5月には、チリの司教34人全員が辞任を表明、受け入れられた。
(サンパウロ 綾村悟)