米下院民主党 「パリ協定」残留の法案発表
弾劾論から政策論議へ
米下院民主党は27日、トランプ大統領が2017年に離脱を表明した地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に留まることを求める法案を発表した。ロシア疑惑をめぐってトランプ氏の罪を立証できなかったモラー特別検察官の報告を受け、民主党はトランプ氏に対する弾劾論から政策議論に重点を移す方針を示しており、同法案もその一環だ。
民主党のペロシ下院議長は会見で、気候変動を「我々の世代においてすでに実存する脅威」だと主張。この法案が地球温暖化対策の「第一歩にすぎない」と強調し、党の優先解題として取り組む考えを示した。
トランプ氏は、この協定が米国にとって「非常に不公平」だと主張し、2020年11月に離脱する意向を示している。民主党は、2020年の大統領選や上下院選に向け、今後も争点の一つとして気候変動問題に積極的な姿勢をアピールするとみられる。
民主党のアレキサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員らが提案した気候変動対策「グリーン・ニュー・ディール」は、党内左派の支持を集める一方、共和党議員らから「非現実的な社会主義的政策」だと批判も浴びている。
ペロシ氏ら党指導部は、より穏健な方針を打ち出すことで、党内議論における主導権を握る狙いがある。
(ワシントン 山崎洋介)