トランプ氏元側近公聴会 米メディアが大々的に報道
トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との2回目の会談がベトナムで行われた27日、米下院で開かれた公聴会でトランプ氏の側近だった元顧問弁護士コーエン被告は、トランプ氏を「人種差別主義者で詐欺師かつペテン師だ」などと非難。トランプ氏が違法行為に関与していたと証言した。米メディアは、非核化をめぐる米朝協議の行方よりもコーエン被告の証言を大々的に報じた。
コーエン被告によれば、トランプ氏は不倫関係にあったポルノ女優への口止め料を支払うよう指示。肩代わりしたコーエン被告に対して大統領就任後も返済を続けていた。コーエン氏は自身の主張を裏付ける証拠としてトランプ氏からの小切手を提出した。
コーエン被告は、これについて「トランプ氏を守るためだった」とし、「忠誠を誓うべきでない人に忠誠を誓い、自分の良心を無視してきたことを思うと心が痛む」と語った。
コーエン被告はまた、大統領選の対立候補だったクリントン陣営から電子メールが盗まれた事件をめぐり、トランプ氏が内部告発サイト「ウィキリークス」が電子メールを暴露することを事前に知っていたと主張した。トランプ陣営で非公式の顧問を務めていたロジャー・ストーン被告が2016年7月、トランプ氏に電話で伝え、これに対しトランプ氏は「素晴らしいことだ」と述べたという。
FOXニュースやCNNテレビなどケーブルニュースのほか、ABC、CBS、NBCの三大ネットワークも午前10時に始まった公聴会を一斉に中継。その数時間前に始まった米朝首脳会談以上に、米メディアで大きな注目を集めた。
トランプ氏に近い共和党のグラハム上院議員は、米朝首脳会談と同じ日に公聴会が設定されたことについて下院で多数派を握る民主党を非難。ツイッターで「民主党のトランプ氏に対する憎しみは、重要な外交政策を損ない、常軌を逸している」と指摘した。
一方、トランプ氏はベトナムの首都ハノイで会談後の会見で、コーエン被告の証言を一部見たと語り、「たくさん嘘(うそ)をついた」と同被告を非難。その上で、「フェイクの公聴会をこの非常に重要な首脳会談の最中に開催するのは本当にひどいことだ」と語った。
(ワシントン山崎洋介)