グアイド氏 ブラジル訪問
ベネズエラ マドゥロ政権に外交戦
南米ベネズエラの反米左派マドゥロ大統領に退陣を求め、暫定大統領就任を宣言している野党指導者のグアイド国会議長は27日夜、滞在先のコロンビアからブラジルの首都ブラジリアへと移動した。28日には元軍人の保守派として知られるブラジルのボルソナロ大統領やアラウジョ外相とベネズエラ情勢に関する会談を行う。
ブラジルはベネズエラの隣国。南米の地域大国であり、グアイド議長に対して「あらゆる支援を行う」と支持を明らかにしている。が、軍出身のモウロン副大統領が「ブラジル領内から武力侵攻が行われることはない」と強調するなど、あくまでも外交を通じた平和的解決を求めており、武力介入を示唆する米国やグアイド氏とは一線を画している。ただし、ボルソナロ大統領は元軍人の保守派として知られ、グアイド氏はブラジルから外交圧力をかけることを要請すると見られ、ブラジル側もそれに応じる可能性が高い。
ボルソナロ氏は、年金改革法案の決議を控えて国内支持を固めたい時期だ。ベネズエラ情勢には世界の注目が集まっており、同氏の外交手腕にブラジル国内も高い関心を持って見守っている。
一方、トランプ政権がベネズエラに対する経済制裁を強化している中で、同国は深刻な外貨不足に陥っている。ロイターが報道したところによると、ベネズエラの政府関係者が1月20日以降に8㌧以上の金塊を中央銀行の金庫から持ち出したと伝えられている。外貨不足を補うための最後の手段とされる。
また、ベネズエラのアレアサ外相は27日、国連の人権委員会においてマドゥロ氏とトランプ大統領の会談を提案、米政府はこれを一蹴した。グアイド氏も、現在は最高裁が自身に命じた出国禁止令を無視している立場で、マドゥロ政権は「帰国すれば対価を払う」と警告している。
双方とも政治家としての生き残りをかけて外交攻勢を強めているのが現状だ。
(サンパウロ綾村悟)