ベネズエラのマドゥロ政権、コロンビアと断交


物資搬入めぐり各地で衝突

 政情不安が続いている南米ベネズエラの反米左派ニコラス・マドゥロ大統領は23日、野党陣営への支援を続けるコロンビアを「我慢の限界だ」と非難、国交断絶を発表した。ベネズエラ政府は、コロンビアの駐在大使や領事に対して24時間以内に出国するように命令した。

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 また、野党指導者のグアイド国会議長は同日、野党議員やボランティアなどと共に、米国などから提供された人道支援物資のベネズエラ搬入を試みた。搬入は、マドゥロ大統領からの指示を受けた国家警備隊の激しい抵抗に遭い失敗、警備隊員によって支援物資を満載したトラック2台が焼かれるなど厳しい結果に終わった。

 また、コロンビアとブラジル双方の搬入ルートにおいては、グアイド氏を支持し、物資搬入を目指す民衆と国家警備隊が国境地帯で衝突、催涙弾やゴム弾などによる鎮圧を受けて300人以上が負傷した。

 ブラジル側では、数台のトラックが国境を越えたとの報道もあるが、民衆側に2人の死者が出たという(ブラジルメディア)。

グアイド国会議長

人道支援物資を積んだトラックに乗って手を振るベネズエラのグアイド国会議長(中央)=23日、コロンビア・ククタ(時事)

 支援物資は、グアイド国会議長が要請したもの。経済崩壊したベネズエラでは、食料や医薬品が極端に不足。多くの国民が栄養失調や伝染病に苦しむ中で、350万人の難民がコロンビアなどの隣国に脱出した。

 米国やブラジルは、コロンビアとブラジルのベネズエラ国境近くに支援物資を空輸、人道支援と同時に国内での影響力強化を図るグアイド氏と野党陣営を支援しようとした。

 ただし、マドゥロ氏は、「人道危機は存在しない」「支援を理由に米軍が介入する」と支援物資の搬入を拒否。22日までにブラジルとコロンビアからベネズエラに入る道路や橋などを封鎖して国家警備隊や国軍兵士を配置した。

(サンパウロ綾村悟)