トランプ大統領、米国務長官の訪朝中止
「非核化に進展ない」
トランプ米大統領は24日、ツイッターで北朝鮮の非核化が進展していないとして、今週予定されていたポンぺオ国務長官の訪朝を中止すると発表した。また、北朝鮮との協議が進まない要因として、貿易問題をめぐって対立を深める中国の存在を指摘した。
制裁緩める中国に不満
トランプ氏は、「現時点で北朝鮮を訪問しないようポンぺオ国務長官に求めた。朝鮮半島の非核化について十分な進展がないと感じているためだ」と中止の理由を説明。6月の米朝首脳会談以降、米朝協議の順調さをアピールしてきたが、今回、初めて公に不満を表明した。
今回の中止発表は、前日にポンぺオ氏が4回目の訪朝を発表したばかりのことだった。米メディアによると、米国が北朝鮮に対して核関連情報の開示など、非核化に向けた具体的な行動を求める一方、北朝鮮は先に朝鮮戦争の終戦宣言を行うことを主張するなど、協議は膠着(こうちゃく)状態に陥っていた。こうした状況の中、トランプ氏は、ポンぺオ氏が訪朝しても事態が改善する見込みが薄いと判断したとみられる。
トランプ氏はまた、ツイッターで「われわれは中国との貿易をめぐってより厳しい姿勢を取った。このため、彼らが以前のように非核化に協力的だとは思えない」として、北朝鮮への制裁圧力を緩める中国に不満を示した。
中朝関係をめぐっては、中国の習近平国家主席が9月9日の北朝鮮建国70周年に合わせ、訪朝するとの観測も浮上している。トランプ氏が中国への不満を表明する背景には、北朝鮮の「後ろ盾」として存在感を高める中国が北朝鮮の非核化を妨げているとの認識がある。
トランプ氏は、ポンぺオ氏の次の訪朝は、「おそらく中国との貿易問題が解決した後になる」と指摘。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長については、「近いうちに再び会うことを楽しみにしている」述べ、2回目の会談にも意欲を示した。トランプ氏は、6月の米朝首脳会談前に、北朝鮮側の言動を理由にいったん中止を通告したが、最終的には予定通り開催した。
CNNテレビによると、トランプ氏が中止発表をした際、ホワイトハウスでポンぺオ氏らが同席。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)も電話で協議に参加していたという。
(ワシントン山崎洋介)