中国のレーザー兵器で米兵負傷

ジブチの基地から照射

ビル・ガーツ

 米国防総省のホワイト報道官は3日、東アフリカ・ジブチの中国軍基地から照射されたレーザー兵器で、米軍パイロット2人が負傷したと発表、中国に外交ルートを通じて厳重に抗議し、調査を要求したことを明らかにした。

 ホワイト氏は「非常に重大な出来事であり、パイロットらにとって脅威になっている」と指摘、同様の事件がここ数週間で「3回以上、10回未満」起きていると強調した。

 米軍の輸送機C130の乗員が、中国の基地から照射されたとみられる「軍用級のレーザービーム」の照射を受け、目に軽症を負った。

 中国政府からの反応は今のところなく、中国軍専門家は共産党機関紙・人民日報系の環球時報に、米国の非難は「根拠がない」と語った。

 中国は昨年、初の海外軍事基地をジブチに設置、400人を派遣する予定。中国政府は、基地は海賊対策のための輸送拠点であり、経済圏構想「一帯一路」を支援するためだと主張しているが、米政府は海外への軍事的進出の一環とみている。

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 米連邦航空局(FAA)は4月1日に航空情報(ノータム)で、中国軍基地付近で「強力なレーザーが照射される複数の事象が起きた」ことを通告、付近を飛行する航空機に注意を呼び掛けていた。

 ジブチには米軍基地キャンプ・レモニエがあり、約4000人が駐留している。中国軍基地に近いことから、安全上の懸念が出ていた。

 ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」は2015年に、中国が人の視力を奪う携帯式レーザー兵器を開発したと報じていた。この種の兵器の使用は、1998年の国連条約で戦闘での使用が禁止され、中国も順守を約束している。

 米アフリカ軍のウォルドハウザー司令官は3月、下院軍事委員会で、ジブチは中国に対し12億ドルとみられる債務があり、中国はジブチの戦略的に重要な港湾の拡張、買収を狙っていると証言していた。

 ウォルドハウザー氏は、中国がジブチの港湾を買収すれば、現地での米軍の活動に「重大な影響」が及ぶと警告している。