「国民に権力取り戻す」 トランプ大統領就任演説
TPP離脱方針発表
トランプ米新大統領は20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂前で行った就任演説で「ワシントンから国民に権力を取り戻す」と訴え、政治改革を進める決意を表明した。演説後、医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しを指示する最初の大統領令に署名。新政権はホワイトハウスのホームページで環太平洋連携協定(TPP)から離脱する方針を発表した。
トランプ氏は約16分間行った演説で、米国の産業が衰退したことで「労働者が取り残された」と指摘し、「(新政権の発足で)それは過去の話になる」と主張。インフラ整備などで雇用創出を図り、貿易や外交政策は国民の利益を考えた「米国第一主義」で決定すると訴えた。
また「ワシントンは繁栄したが、人々はその富の分け前にあずからなかった」と語り、エスタブリッシュメント(既成勢力)を批判。「口先だけで行動しない政治家を、これからは受け入れない」とし、米国再建のために国民が団結して行動するよう訴えた。
安全保障政策では「文明世界を結束し、イスラム過激主義のテロを地上から完全に消し去る」と主張し、「イスラム過激主義」との言葉を避けていたオバマ前大統領との違いを鮮明にした。最後は大統領選のスローガンだった「米国を再び偉大にする」で締めくくった。
この後、トランプ大統領夫妻はペンス副大統領夫妻らと議事堂からホワイトハウスまでの約2・5㌔をパレード。大統領執務室でオバマケアの規制による負担を軽減させる大統領令に署名した。
また米上院は20日の本会議で、国防長官に指名されていたジェームズ・マティス元中央軍司令官と国土安全保障長官に指名されていたジョン・ケリー前南方軍司令官の閣僚人事を賛成多数で承認。マティス、ケリー両氏はペンス氏立ち会いの下で宣誓を行い、正式に就任した。
(ワシントン岩城喜之)