トランプ氏、米大統領に就任
リベラル路線の転換目指す
初日に大統領令も
米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏(70)の大統領就任式が20日午前11時半(日本時間21日午前1時半)から、連邦議会議事堂前で行われた。トランプ氏は20日正午(同2時)ごろ、聖書に手を置いて職務を忠実に遂行することを宣言。第45代大統領として正式に就任する。その後、就任演説を行い、政治理念や施政方針を説明する。8年ぶりに政権を奪還した共和党は、オバマ政権が推し進めたリベラル路線からの転換を図る方針だ。
トランプ氏は就任演説を約20分間行い、米国が直面する課題を挙げ、国民の団結を呼び掛ける。スパイサー次期大統領報道官は演説について「政策課題より哲学的で、この国のビジョンや政府、市民の役割について述べるだろう」としている。聖書はリンカーン元大統領が1861年の就任宣誓で使用したものと、トランプ氏が子供の頃に母親から贈られた2冊を使う。
就任式後にトランプ氏は議員団と会食をし、議事堂からホワイトハウスまでパレードを行う。ただ、トランプ氏は就任初日から職務を行いたいとの意向を示しているため、パレード時間は2008年のオバマ大統領就任時より短縮される見通しだ。
また、スパイサー氏によると、トランプ氏は初日から4~5件の大統領令を出す予定だ。不法移民対策や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱などを宣言する可能性もある。
昨年2月に死去した保守派の元最高裁判事アントニン・スカリア氏の後任人事は、就任から2週間前後で発表すると言明している。
トランプ氏は就任式を控えた19日、ツイッターに「米国民のための素晴らしい旅にするよう私は一生懸命に働き、戦う」と書き込み、大統領就任への決意を表明した。
一方、トランプ氏の過激な発言は大統領選を通じて物議を醸してきた。CNNテレビが17日発表した世論調査によると、トランプ氏の支持率は40%で、就任直前の支持率としては近年の大統領で最も低い数字だ。オバマ政権下で進んだリベラルな政策を大幅に改める考えを示しているトランプ氏だが、改革を進めるためには丁寧な説明で国民の理解を得ることも必要となる。
(ワシントン岩城喜之)