米大統領「代償負わせる」 一般教書演説 領空の露機禁止


1日、米議会で一般教書演説を行うバイデン大統領=ワシントン(AFP時事)

 バイデン米大統領は1日(日本時間2日午前)、連邦議会の上下院合同会議で初の一般教書演説を行い、ロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の結束について、プーチン大統領が「判断を誤った」と指摘。「独裁者が侵略の代償を支払わなければ、さらなる混乱を招く」とし、厳しい対応を取ることを表明した。

 バイデン氏は約1時間の演説の冒頭で10分以上にわたり、ウクライナ危機について言及。議場にウクライナのマルカロワ駐米大使を招待しスタンディングオベーションを促すなど同国との連帯を強調しつつ、プーチン氏への対決姿勢を鮮明にした。

 バイデン氏は「プーチン氏は自由な世界を威嚇的な方法で屈服させることができると考え、その基盤を揺るがそうとしたが、ひどい誤算だった」と指摘。ロシアによる侵攻に抵抗しているウクライナについて、「ゼレンスキー大統領からウクライナ国民まで、彼らの大胆不敵さや勇気、決意が世界を触発している」と称(たた)えた。

 

 ロシア機の米領空通過禁止も発表し、「ロシアをさらに孤立させ、経済の締め付けを強化する」とも表明。「ロシア経済はぐらつくが、プーチン氏だけに責任がある」と非難した。

 ウクライナへの軍事、経済的な支援を行っているとしつつ、「ウクライナとロシアの紛争には関与しないと明言する」とも強調した。一方、プーチン氏が、ポーランドやルーマニア、ラトビア、リトアニア、エストニアなどのNATO諸国への侵攻を決断した場合には、「米国と同盟国は力の限りNATO諸国の領土の隅々までを守る」と誓った。

 最大の競争相手と位置付ける中国については、昨年に超党派で成立させたインフラ投資法の成果をアピールする中で言及し、「米国を変革させ、特に中国との経済競争に勝つための道筋をつけるものだ」と訴えた。一方、ミサイル発射が相次ぐ北朝鮮や米軍撤退時に混乱を招いたアフガニスタンについての言及はなかった。

 内政面では、昨年650万人以上の雇用を生み出したとアピール。「経済成長率は5・7%に達し、過去40年近くで最も力強い成長だ」と訴えた。

 記録的なインフレについては、サプライチェーン(供給網)の強化や子育て支援、省エネのための税額控除を行う方針を表明した。

 新型コロナウイルスについては、「もはやわれわれの生活を支配しなくなった」と指摘。ワクチン接種を呼び掛けるとともに、在宅勤務から職場への復帰も促した。

(ワシントン・山崎洋介)