バイデン氏「団結」呼び掛け、米国 NYなど各地で追悼式


11日、ニューヨークでの米同時テロ20年の追悼式典で黙とうする(左から)クリントン元大統領夫妻、オバマ元大統領夫妻、バイデン大統領夫妻ら(AFP時事)

11日、ニューヨークでの米同時テロ20年の追悼式典で黙とうする(左から)クリントン元大統領夫妻、オバマ元大統領夫妻、バイデン大統領夫妻ら(AFP時事)

 日本人24人を含む2977人が犠牲となった米同時テロから11日で20年を迎えた。ニューヨークの世界貿易センタービル跡地など各地で追悼式典が開かれ、バイデン大統領も3カ所の現場を訪問。10日夜には、犠牲者を追悼するビデオメッセージを発表し、国民の団結を呼び掛けるとともに、テロと戦う意志を示した。

 ハイジャックされた航空機2機が衝突し、倒壊したニューヨーク世界貿易センターの跡地「グラウンド・ゼロ」の追悼式には、バイデン氏も出席。1機目が衝突した午前8時46分(日本時間午後9時46分)に市内の教会の鐘が一斉に鳴らされ、犠牲者の名前が一人ずつ読み上げられた。

 別のハイジャック機が衝突した首都ワシントン郊外の国防総省でも追悼式典が行われ、遺族や関係者が出席。同時テロ当時、現職だったブッシュ(子)元大統領は、4機目のハイジャック機が墜落したペンシルベニア州シャンクスビルでの式典に基調演説を行うため出席した。式典には、ハリス副大統領も出席した。

 バイデン氏は10日のメッセージの中で、「2001年9月11日に90を超える国々の2977人が犠牲となった。この家族や多くの負傷者へ、米国や世界は、あなたとあなたの愛する家族のために追悼する」と遺族らに哀悼の意を示した。また、消防士や警察官、医療従事者、軍人らについて「人命救助や復興にすべてを捧(ささ)げた」とたたえた。

 バイデン氏は「団結こそ決して壊れないものだと学んだ。団結はわれわれを米国人たらしめるものであり、最大の強みだ」と述べ、米国民の結束を呼び掛けた。さらに「米国に危害を加えようとする者を追い詰め、代償を払わせる。この取り組みは今日も、明日も変わりない」と述べ、テロ組織を牽制(けんせい)した。

 テロを受け、米軍が侵攻したアフガニスタンでは先月、米軍の撤退に伴いイスラム主義組織タリバンの全権掌握を許した。アフガンが再びテロの温床となる懸念を残したまま、20年の節目を迎えることになった。

(ワシントン・山崎洋介)