米軍撤退は「最善の決断」、アフガン戦争終結を宣言
バイデン氏自賛 前政権に責任転嫁も
バイデン米大統領は31日、ホワイトハウスで国民向けに演説し、2001年から続いたアフガニスタン戦争の終結を宣言した。米軍の撤退と民間人の退避について「類いまれな成功」と自賛するとともに、米軍撤退は「米国にとって正しく、賢明で、最善の決断だった」と正当性を主張。今後は中国などの脅威に対抗するために、米国の競争力を高める必要があると訴えた。
バイデン氏は演説の冒頭で、「米国は米史上最も長い20年に及ぶアフガン戦争を終わらせた」と表明。12万人の人々を退避させたとして「歴史上、どの国も成し遂げたことはない。米国だけがこれを行う意志と能力を持っている」と強調した。
撤退に伴う混乱により政権の対応に批判が集まる中、バイデン氏は、「決断に対して責任を負う」としつつも、仮に6月か7月に退避したとしても、人々が空港に殺到し政府が信頼を失うなどして、困難と危険が伴う任務だったと主張。「われわれが直面したような複雑さや困難、脅威なしに戦争からの退避作戦を行うことは不可能だ」と釈明した。
また、トランプ前政権がイスラム主義組織タリバンと今年5月1日の撤収期限で合意していたことによって、「合意に従い撤退するか、軍を増派し戦争をエスカレートさせるかの選択に直面した」と述べ、前政権によって困難な立場に置かれたとして、責任転嫁する場面もあった。
さらに、「中国とは深刻な競争に取り組んでおり、多くの分野でロシアからの挑戦に対処している」と指摘。「米国がもう10年、アフガンで泥沼にはまることほど、中露が望むことはない」と述べ、撤収の正当性を強調した。
バイデン氏は「大統領の基本的な義務は、01年の脅威からではなく、21年と未来の脅威から米国を守ることだ」と述べた上で、「アフガンで年間数十億㌦を費やすことによって、米国の安全が強化されるとは思わない」と表明。中露の脅威に対抗するために、米国の競争力を高める必要があると訴えた。
(ワシントン・山崎洋介)