米軍撤退は「最善の決断」、アフガン戦争終結を宣言


バイデン氏自賛 前政権に責任転嫁も

 バイデン米大統領は31日、ホワイトハウスで国民向けに演説し、2001年から続いたアフガニスタン戦争の終結を宣言した。米軍の撤退と民間人の退避について「類いまれな成功」と自賛するとともに、米軍撤退は「米国にとって正しく、賢明で、最善の決断だった」と正当性を主張。今後は中国などの脅威に対抗するために、米国の競争力を高める必要があると訴えた。

アフガニスタンの戦争終結についてホワイトハウスで演説するバイデン米大統領=8月31日(EPA時事)

 バイデン氏は演説の冒頭で、「米国は米史上最も長い20年に及ぶアフガン戦争を終わらせた」と表明。12万人の人々を退避させたとして「歴史上、どの国も成し遂げたことはない。米国だけがこれを行う意志と能力を持っている」と強調した。

 撤退に伴う混乱により政権の対応に批判が集まる中、バイデン氏は、「決断に対して責任を負う」としつつも、仮に6月か7月に退避したとしても、人々が空港に殺到し政府が信頼を失うなどして、困難と危険が伴う任務だったと主張。「われわれが直面したような複雑さや困難、脅威なしに戦争からの退避作戦を行うことは不可能だ」と釈明した。

 また、トランプ前政権がイスラム主義組織タリバンと今年5月1日の撤収期限で合意していたことによって、「合意に従い撤退するか、軍を増派し戦争をエスカレートさせるかの選択に直面した」と述べ、前政権によって困難な立場に置かれたとして、責任転嫁する場面もあった。

 さらに、「中国とは深刻な競争に取り組んでおり、多くの分野でロシアからの挑戦に対処している」と指摘。「米国がもう10年、アフガンで泥沼にはまることほど、中露が望むことはない」と述べ、撤収の正当性を強調した。

 バイデン氏は「大統領の基本的な義務は、01年の脅威からではなく、21年と未来の脅威から米国を守ることだ」と述べた上で、「アフガンで年間数十億㌦を費やすことによって、米国の安全が強化されるとは思わない」と表明。中露の脅威に対抗するために、米国の競争力を高める必要があると訴えた。

(ワシントン・山崎洋介)