マルセイユ麻薬戦争が深刻化、14歳の少年も射殺 フランス


 

 フランス南部最大の都市マルセイユで1週間前、麻薬をめぐるギャングの抗争で3人が殺害される事件が起きた。2週間前にはラヤンヌと呼ばれる14歳の少年が、同市北部の団地の外でスクーターに乗る若い男によって射殺される事件も起きている。同事件では他の2人の少年(うち1人は8歳)が攻撃され負傷した。
 マルセイユは麻薬をめぐるギャング同士の抗争が絶えず、新型コロナウイルスの感染対策が緩和されて以降、ギャングの活動が活発化し、今年は15回、今夏だけで12回のギャングの抗争による殺人事件が起きている。そのうちの一つは車のトランクの中で生きたまま燃やされる残忍なものだった。

 昨年は同市で抗争による死者は28人に上り、同市の治安悪化に仏内務省は頭を抱えている。特に犠牲者の多くが若者で10代も多いことだ。中にはギャングとは関係のない若者も犠牲になっている。実際、同市の警察、治安判事、ソーシャルワーカー、地元のジャーナリストは、麻薬犯罪の低年齢化を認めている。

 マルセイユで16歳の若者が殺害された2010年は大きな衝撃的ニュースだったのが、今では日常化していると、日刊紙ルモンドは指摘している。マルセイユの北部貧困地域では、麻薬密売組織がネットで募集した若者が、彼らの手足となっている。ただ、その範囲は拡大し、今ではマルセイユ全域に住む若者が募集に応じているという。

(パリ・安倍雅信)