バイデン大統領 米軍撤収の正当性主張
アフガン指導者の出国非難
バイデン米大統領は16日、ホワイトハウスで国民向けにテレビ演説を行い、「米軍はアフガニスタン軍が自らのために戦う意思がない戦争を戦うべきではない」と述べ、アフガン駐留米軍撤収について「国民と勇敢な兵士にとって正しいもの」だとして、その正当性を主張。また、同国における民主国家建設ではなく、米国に対するテロ攻撃を防ぐことに焦点を当てるべきだと強調した。
アフガン政権が崩壊以降初めて演説したバイデン氏は、「真実を言えば、予測していたよりも事態が早く推移した」とタリバンが急速に勢力を拡大させたことについて見通しが甘かったことを認めた。その一方で「アフガンの政治指導者たちは諦めて国を逃れ、アフガン軍は、時に戦おうとせずに壊滅した」と述べ、国外に脱出したガニ大統領らに強い不満を示した。
バイデン氏は、6月と7月にガニ氏と会談した際に、タリバンとの政治的解決を求めるために、和平交渉を行うように促したが、「きっぱり拒否された」と指摘。「ガニ氏はアフガニスタン軍が戦うと主張したが、明らかに彼は間違っていた」と非難した。
バイデン氏は、米国がこれまでアフガンで1兆㌦以上を費やし、約30万人のアフガン軍を訓練し、装備を整えたと説明。米国の真の戦略的競争相手である中国とロシアは、「米国がアフガンを無期限に安定させるために数十億㌦の資源を注ぎ込むことを望んでいる」と述べ、アフガンへの駐留を続ければ中露両国を利することになると主張した。
バイデン氏はまた、「われわれはアフガンの人々への支援を続ける」と強調し、暴力や混乱を防ぐため外交的な関与を継続し、女性の人権を擁護するために声を上げるとした。
米国務省のプライス報道官は16日の記者会見で「将来のアフガン政府との関係はタリバンの行動次第だ」と表明。「人権を擁護し、テロリストを匿(かくま)わず、女性と少女の人権を守る」限り、タリバンが参加する政権を承認する可能性を示唆した。
(ワシントン 山崎洋介)