中国の台湾吸収を容認、米国防総省高官 オバマ政権時に


 米国防総省の調査機関、総合評価局(ONA)のジェームズ・ベーカー局長が、中国による台湾吸収を容認、オーストラリアとの同盟関係にも否定的な見方を示していたことが、ワシントン・タイムズが入手した文書から明らかになった。

 それによると2010年11月、当時、マイケル・マレン統合参謀本部議長の顧問だったベーカー氏は、オーストラリアで開かれた会合のためにまとめた資料の中で、「台湾を中国に譲ることは米国の国益にとってそれほど悪いことではない」と指摘していた。米国は台湾を国家として承認しておらず、1979年台湾関係法で防衛のための兵器売却が認められている。

 またベーカー氏は、豪州、ニュージーランドとの間の安全保障条約「ANZUS(アンザス)条約」について「正当なものとは思っていない」と否定的な見方を示していた。両国は米国にとって重要な同盟国だ。

 バイデン前副大統領によって国防長官に指名されているロイド・オースティン元中央軍司令官は、ベーカー氏がマレン議長の顧問だったころ参謀長を務めていた。オースティン氏が国防長官に就任すれば、ONA局長として、再びオースティン氏に助言をする立場に立つことになる。

 ベーカー氏はオバマ政権時の15年にONAの局長に抜擢(ばってき)された。

 トランプ政権1年目の17年にも自身の論文で、「台湾、イスラエルなどへの曖昧な関与は脆弱(ぜいじゃく)性を増しており問題」と米台関係に対して否定的な見方を表明していた。

 国防総省は、ワシントン・タイムズの取材に対し、ベーカー氏の主張に関するコメントを避けた上で、「ベーカー氏とONAは、誰が国防長官に就任しても、今後も最良の助言をし続ける」と述べた。

(ワシントン・タイムズ特約)