米選挙介入の報告書に遅れ 米国家情報長官室


中国関与めぐり見解相違か

 米情報機関を統括する国家情報長官室(ODNI)は16日、11月の米大統領選への外国勢力の介入についての報告書の議会提出が遅れると発表した。米メディアによると、中国の介入をめぐり情報機関内で見解の相違が生じていることがその理由だという。

3日、米ホワイトハウスを訪れたラトクリフ国家情報長官(UPI)

3日、米ホワイトハウスを訪れたラトクリフ国家情報長官(UPI)

 ODNIは声明で、「各機関による報告内容の調整が終了していない」として、大統領令で定められた議会への提出期限である18日には間に合わないと発表した。

 ブルームバーグ通信は関係者の話として、ラトクリフ国家情報長官は、中国の取り組みによってもたらされた国家安全保障の脅威をより強く反映しない限り、報告書の承認を拒否することを検討しているとした。

 ラトクリフ氏の懸念は、トランプ氏の再選を阻止するために中国指導部のとった行動や計画についての全体像を示す新たな情報によって高まっているという。これには、トランプ氏が白人至上主義者であるというメッセージを拡散させるなどのソーシャル・メディア上での取り組みも含まれているとされる。

 また、フォックスニュースは関係者の話として、情報機関の上級分析官の一部は、中国が2020年の大統領選挙に影響を与える取り組みは「最小限」であるか、最終的には実行されなかった計画のみだったと主張する一方、他の上級分析官は、中国による介入の意思や行動について「十分で明白な情報」があると訴えている。

 外国勢力による選挙介入をめぐってはラトクリフ氏のほか、オブライエン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ポンペオ国務長官、バー司法長官ら政権高官は選挙前から、ロシアよりも中国が大きな脅威だとしていた。

(ワシントン 山崎洋介)