黒人暴行死で抗議デモ ブラジル
外資系スーパー破壊も
ブラジル南部のリオグランデドスル州の州都ポルトアレグレにあるフランス系スーパーマーケット「カルフール」で19日、買い物中の黒人男性(40)が警備員に暴行され、死亡する事件が発生、ブラジル国内で抗議デモが広がっている。
男性は事件当時、夫婦でカルフールに来ていたが、買い物中に店員と口論になり、警備員が呼ばれた。その後、警備員2人(うち1人は非番の警官)が制止する妻を押し倒して、男性を店外に連れ出し、顔面や頭などを殴打し続けたという。
殴打の動画がSNSに広がると、ポルトアレグレや首都ブラジリアなどのカルフール前で抗議デモが発生、過激化したデモ参加者の一部が店舗を破壊する事態へと発展した。
ブラジルでは、11月20日は「黒人の日」とされており、黒人解放のシンボル、ズンビ・ドス・パウマーレスが1695年に処刑された日として知られる。黒人解放の記念日前日に事件が発生したことも、抗議運動が広がることにつながった。
カルフールは20日、この警備員を解雇するとともに、警備員を派遣していた会社とも契約を解除したことを発表、哀悼の意を表明した。カルフールでは、過去にもサンパウロの店舗で黒人客が警備員から執拗(しつよう)な暴力を受ける事件が起きている。
ブラジルは、米国などに比べると人種差別が比較的少ないとされるものの、貧困層の割合は人口比で明らかに黒人が多いなど、社会的な格差が指摘されている。
(サンパウロ 綾村悟)