バイデン氏 「勝利」宣言、政権移行へ準備加速


米大統領選 トランプ氏徹底抗戦

 米大統領選で当選確実が報じられた民主党のバイデン前副大統領(77)は7日夜(日本時間8日午前)、地元デラウェア州で演説し、「勝利」を宣言した。新型コロナウイルスの対策チームを立ち上げるなど、政権移行に向けた準備を加速させる。一方、トランプ大統領(74)は、法廷闘争を通じて徹底抗戦する姿勢を崩しておらず、勝者の確定まで時間がかかる可能性がある。

7日、米東部デラウェア州ウィルミントンで、大統領選の勝利演説後に手を振るバイデン前副大統領(中央)とジル夫人(右から2人目)、ハリス上院議員(左)(EPA時事)

7日、米東部デラウェア州ウィルミントンで、大統領選の勝利演説後に手を振るバイデン前副大統領(中央)とジル夫人(右から2人目)、ハリス上院議員(左)(EPA時事)

 バイデン氏は演説で、「分断ではなく、結束を目指す大統領になる」と強調。その上で「暴言をやめて冷静になり、もう一度向き合い、双方の主張に耳を傾けるべきだ」と述べ、融和を呼び掛けた。

 米メディアは同日、激戦となっていた東部ペンシルベニア州でバイデン氏が勝利を確実にし、獲得選挙人が当選に必要な過半数(270人)を超えたと報じた。その後、西部ネバダ州もバイデン氏が制した。

 バイデン氏は演説で、「われわれの仕事は新型コロナを制御することから始まる。ウイルスを制御するまで、経済を修復し、活力を取り戻すことはできない」と主張。9日に専門家による新型コロナの対策チームを設置するなど、政権移行に向けた準備に取り掛かる考えを示した。米メディアによると、対策チームは、マーシー元医務総監ら12人の専門家で構成される。

 バイデン氏の陣営は、政権移行に向けたウェブサイトを立ち上げ、新型コロナの感染拡大や経済危機、人種差別問題、気候変動問題に就任初日から対処する方針を示している。ワクチン開発や流通のため、250億㌦(約2兆6000億円)を投資する計画も発表した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると政権移行チーム内で新政権の人事についても議論が始まった。また、トランプ政権が離脱した地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」に復帰するなど、現政権の方針を覆す大統領令について話し合っているという。

 一方、トランプ氏は8日、ツイッターで「いつからメディアが次の大統領を決めるようになったのか」とメディアによる当選確実の報道に反発。また「不正があったという数多くの宣誓供述書がある。それらについて調べる必要がある」と主張し、法廷闘争を続ける考えを表明した。

 トランプ氏の個人弁護士のジュリアーニ元ニューヨーク市長は8日、FOXニュースで死亡した有権者の票が投じられたなどと主張し、今週中に四つか五つの訴訟を起こす準備をしていると明らかにした。同氏は不正を目撃した「50人の証人がいる」とし、そのうち1~2人が公に証言する可能性があると述べた。

 CNNテレビによると、トランプ氏は法廷闘争への支持を呼び掛けるため、全米で集会を開催することも検討している。娘婿であるクシュナー大統領上級顧問やジュリアーニ氏らが提案しているという。