郵便投票は不正の温床 米大統領選

ノースカロライナ州下院議員ジェイソン・セイン氏 本紙に寄稿

 米大統領選は5州で結果が判明しない異常事態に陥っている。大統領選だけでなく上院選の勝者も確定していないノースカロライナ州のジェイソン・セイン州下院議員(共和党)は、大幅に拡大された郵便投票が不正の温床になったとする論評を米紙ワシントン・タイムズと世界日報に寄稿した。セイン氏は、州選挙管理委員会が郵便投票のルールを一方的に変えて不正防止策を緩めたことが深刻な混乱をもたらし、選挙に対する有権者の信頼を失わせたと非難した。セイン氏の寄稿は以下の通り。

選管が一方的にルール変更
署名の照合やめ期限も延長

 われわれは選挙後に不透明な状況が生じると警告してきたが、それが現実のものとなっている。想像していたよりひどい状況だ。ノースカロライナ州の選挙結果は極めて重要であり、大統領選と上院の過半数を左右する。選挙結果を判定できない状況は、有権者の信頼を危機的水準まで喪失させている。

ノースカロライナ州下院議員ジェイソン・セイン氏 本紙に寄稿

 

 問題の中心は、州選挙管理員会が選挙戦の最終盤に不在者投票のルールを書き換えたことだ。

 共和党は幾つかの不正防止策を維持・強化することができたが、署名の照合をやめることや投票受付期限の延長が立法措置もなく裁判所を通じて押し付けられてしまった。上院多数派と大統領選の行方が分からなくなっているのは、選挙管理委員会による無謀な行為のせいだ。

 制度上の不正防止策を減らせば、その分、選挙で不正行為が増えることになる。今回の選挙で、郵便投票以上に不正行為を招く投票手段はない。数週間前、ある友人は娘さんが経験した不正行為の疑いがある出来事を私に話してくれた。友人が期日前投票に行ったところ、娘さんは既に郵便投票を済ませていると言われたのだ。だが、娘さんは郵便投票をしていなかった。事務員が有権者名簿を確認したところ、有権者登録カードと名簿の住所が一致していないことが分かった。まったく別の住所の何者かが彼女の登録情報を変え、彼女の名前で郵便不在者投票をしていたようだ。

 この出来事は、できる限り多くの不正防止策を講じる重要性を示している。だが、残念なことに、選挙管理委員会は、できる限り不正行為を容易にするように全力を注いできた。選管は特定利益団体の弁護士たちと結託し、不在者投票で証人の署名を求める規定を骨抜きにし、投票用紙の投函ボックス設置を認め、選挙の9日後まで届いた投票を受け入れるようにしようとしてきた。最もひどいのは、本人や証人の署名がなくても代わりに宣誓書を受け入れることを選挙管理委員会が認めたことだ。

 証人署名規定は、過去に重要な役割を果たした。2018年の下院議員選で不正を働いた者を捕まえることに役立ったのだ。幸い、選管が証人署名を骨抜きにするのを裁判所が阻止したが、残りの新たな修正手続きはそのままで、選挙の不正を見つけ、止めることが難しくなってしまった。

 選挙で選ばれていない役人たちが法律で決められた選挙の不正防止策を覆したのは、ノースカロライナ州だけではない。ペンシルベニア州では、州務省が各郡の書記官に対し、署名の不一致を理由に投票を却下しないよう指示する通達を出した。郵便投票では署名以外、写真付き身分証明書など身元を確認できる情報は求められない。不正防止策が署名しかない中で、誰かが別の人の投票用紙を手に入れたとしよう。署名までもが無意味になったら、ペンシルベニア州は一体どうやって選挙の正統性を確保できるのか。

 全米各地で悪者たちが選挙結果を操ろうとした事例が数え切れないほど出ている。悪者は常に存在する。だからこそ、不正防止策を講じるのだ。州選挙管理委員会は不正防止策を全面的に取り除き、悪者たちが選挙結果を操ろうとするのを防ぐ能力を失わせようとしている。