新型コロナ 対中政策で激論 決戦に向け最後のテレビ討論会
互いの疑惑追及も
11月3日に行われる米大統領選に向けた共和党のトランプ大統領(74)と民主党のバイデン前副大統領(77)による最後のテレビ討論会が22日夜(日本時間23日午前)、南部テネシー州で開かれた。両候補は、新型コロナウイルス対応や対中政策について議論を戦わせたほか、互いの疑惑についても非難し合った。
トランプ氏とバイデン氏が互いの発言を遮ったり、相手を中傷したりするなど混沌とした状態となった前回とは異なり、比較的落ち着いた雰囲気の中、議論を戦わせた。
新型コロナへの対応について、トランプ氏は人工呼吸器の増産などの取り組みを訴えたほか、ワクチン開発も進んでいるとし、コロナ危機の「峠を越えた」と主張。
また、新型コロナの影響で鬱(うつ)病やアルコール・薬物中毒が増加しているとして、「われわれは国を開かなければならない」と訴えた。
これに対しバイデン氏は、新型コロナにより22万人の米国民が死亡したとし、「多くの死者を出したことに責任を負う人物が米国の大統領としてとどまるべきではない」と、トランプ氏の対応を批判。経済再開についてはレストランにアクリル製ガラスを設置するなど、感染対策を十分に行ってから行うべきだとした。
対中政策について、バイデン氏は「トランプ氏のやり方と違って、国際的なルールに従って行動させる」と強調し、同盟国に対しても中国に圧力をかけるよう呼び掛けるとした。
トランプ氏は、中国による通貨の切り下げや鉄鋼のダンピング(不当廉売)から国内産業を守るため、関税を引き上げたことをアピールし、「あなたは何も要求してこなかった」と述べ、上院議員時代も含めたバイデン氏のこれまでの中国対応を批判した。
トランプ氏は、バイデン氏の息子ハンター氏の疑惑をめぐり、バイデン氏とその家族がロシアやウクライナ、中国から報酬をかき集めていたとし、「米国民に説明する責任がある」と指摘した。
バイデン氏は「私はこれまで外国から1セントも受け取ったことがない」と断言した上で、トランプ氏が中国に銀行口座を保有し同国に税金を納めていたとする報道を取り上げ、納税申告書を公表するよう求めた。
(ワシントン山崎洋介)