山口代表7選、長期与党で増す存在感
「公明」紙誌 福島にデジタル庁、大阪都構想支持
公明党は9月27日の党大会で党代表に山口那津男氏を無投票再選した。7選目だ。2009年9月からの在任中に民主党政権下の野党から自民党と共に政権復帰を果たし、史上最長政権を達成した安倍晋三首相、菅義偉首相と政権合意を交わした。
機関誌「公明」11月号の巻頭インタビュー「新出発の公明党―山口那津男代表に聞く」で、山口氏は自民党との政権合意について「12年の政権奪還時、一番重要なポイントは政権の安定なくして政策実現はないということを確認し合った。だから政権合意の中で、『決して驕ることなく、真摯な政治を貫く』ことを、いの一番に掲げた」と強調している。
安倍政権で公明党の「一番大きな成果」として、政権合意に盛り込んだ「消費税率10%への引き上げの際には、軽減税率の導入を確実に実施する」との内容を、消極的な自民党と交渉し実現したことを挙げた。
長い連立関係で公明党の主張が決め手となるなど存在感は増している。新型コロナウイルス対策では自民党が「条件付き給付」の方針だったのに対し、山口氏は首相官邸で10万円一律給付を談判し実現させた。
また、菅政権での政権合意では、新型コロナ感染への対応、デジタル社会への転換を図る改革を柱に「謙虚な姿勢で真摯に政権運営に努力することを約束する」と表明。党大会後の3日に福島県入りした山口氏は、同党県本部大会に出席し、「2日の菅義偉首相との会談の中で、『デジタル庁を福島県につくってはどうか』と提案したことを明かした」と公明新聞10月4日付は伝えている。
「コロナ禍で、東京など大都市一極集中の弊害が現れたことを踏まえ、デジタル技術を活用した地方創生と分散型社会の構築を訴えた」ものだ。
公明党は連立政権で国土交通省のトップである国交相ポストを入閣の指定席としている。その党代表の発言となると、マスコミも反応する。“デジタル政府”とも言えるデジタル庁を地方に創設するという構想は、国土計画の一環として蓋然(がいぜん)性を伴うと言えよう。
大所帯の自民党では、選挙や国会対策をめぐり党本部と地方組織と軋轢(あつれき)が起きることもある。このような時、小回りの利く公明党の出方が注目される。16年都知事選に出馬した小池百合子東京都知事と17年都議選の都民ファーストの会をめぐって自民党東京都連は小池知事と対決したが、公明党は協力した。
さらに、大阪では大阪維新の会が2010年以来訴え続けている、大阪市をなくして四つの特別区に再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票が12日に告示され、11月1日に投票日を迎えるが、今回、公明党は支持を打ち出した。
公明新聞10月19日付1面の中で、18日に山口氏が大阪入りし同構想を支持する応援演説をした記事を、「大阪都構想で日本をリード/公明、維新と合同で街頭演説」「山口代表/住民投票の賛成多数へ訴え」の見出しで報じた。維新代表の松井一郎大阪市長、同代表代行の吉村洋文大阪府知事と街宣車に立つ写真入りだ。しかし、自民党大阪府連は維新・公明以外の他党と一緒に反対している。
なお自民党の機関紙「自由民主」(10・20)は、3面全面を使って「2025年大阪/関西万博に向けて」「いのち輝く未来社会をデザインする」などの見出しで、菅首相を本部長とする国際博覧会推進本部設置を特集した。万博開催地の地元に首長を擁する維新とは何かと協調しなければならない。別の与党・公明党の声がそれを肩代わりしているとも言えそうだ。
編集委員 窪田 伸雄











