人種問題研修の中止を命令 トランプ米大統領
トランプ米大統領は4日、政府機関職員を対象にした人種差別に関する研修を「反米プロパガンダ」だとして、中止するよう命じた。研修は「すべての白人が本質的に人種差別的」などと主張する左派イデオロギーに基づいた内容で、保守派らから懸念の声が上がっていた。(ワシントン・山崎洋介)
「反米プロパガンダ」と非難
保守派から懸念の声
「政府職員に分裂を引き起こす反米プロパガンダを信じ込ませるよう『訓練する』ため、これまで何百万㌦もの税金を費やしてきた」
行政管理予算局(OMB)のラッセル・ボート局長は4日、政府機関に向けたメモで、トランプ氏による大統領令の理由をこう説明した。
研修の具体的内容として、職員たちは「実質的にすべての白人が人種差別に加担している」と教え込まれたり、「人種差別から利益を得ている」と言わされたりしていたと指摘。また、米国の伝統的な価値観を表す「米国は機会の土地である」「最も適格な人が職に就くべきだ」などの考えにも人種差別が含まれていると主張するケースまであったという。
ボート氏は、こうした内容は「建国以来の米国の基本的な価値観に反するだけでなく、分断と憎しみを引き起こす」ものだと非難した。
ここ最近、「差別解消」の名の下に、政府内で左派イデオロギーを押し付ける研修が横行していた実態が明らかになっていた。
この問題を追及してきたドキュメンタリー映画監督のクリストファー・ルフォ氏によると、このプログラムを開発したコンサルタントのハワード・ロス氏は6月に、「不安な時代の人種に関する困難な対話」と題した連邦機関向けの研修を実施。財務省や連邦準備銀行、消費者金融保護局などの職員がその対象になったという。
ルフォ氏は7月、内部告発者が提供した研修資料をインターネット上で公開。それによると、すべての白人が「人種差別的制度の解体を支持しないという一貫した考えを内面化」しており、そのため白人の職員に対し「自分自身の人種差別主義と闘うべき」だと訴えている。
こうした研修の費用は国民の税金によって賄われており、ルフォ氏によると、ロス氏は連邦機関から過去15年間で500万㌦(約5億3000万円)もの収入を得てきたという。
ルフォ氏はまた、エネルギー省傘下の核兵器研究施設であるサンディア国立研究所が昨年、「白人男性の文化の解体」を目的として、白人男性の幹部に対し、3日間の研修を行ったことを明らかにした。
その研修の初めに、講師が「白人男性の文化」に関連する用語をリストアップしたが、それには「白人至上主義者」や「大量殺戮(さつりく)」、さらにはトランプ氏の選挙スローガンが書かれた赤い帽子「MEGAハット」までも挙げられた。参加者たちは研修の終わりに、白人女性や有色人種の人たちに手紙を書き、自分たちの「特権」について謝罪し、今後は「より良い支援者」になることを誓ったという。
白人であることを理由に謝罪まで求められる研修内容は、肌の色に基づき人を区別している点で、黒人差別と同様に人種差別的だと言える。共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は先月20日、研修内容に懸念を表明し、「あからさまに人種を分断する研修を用いることは、(人種差別を禁止する)連邦公民権法に違反する可能性がある」と述べ、エネルギー省に調査を要求。これを受け、同省のダン・ブルイエット長官は、調査を命じた。
過激な左派活動家による彫像や記念碑の破壊が相次ぐ中、トランプ氏は「文化戦争に直面している」と主張。こうした動きの中で、長年見過ごされてきた極端な内容の研修を中止する決定に至った。トランプ氏は今月5日、ツイッターで、研修内容について「これは病的であり、続けることは許されない。直ちに廃止するために、目撃したことは何でも報告してほしい」と職員らに促した。

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