民主党大会開幕 バイデン氏正式指名へ


異例のオンライン形式

 米民主党の全国党大会が17日、中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーを拠点に開幕した。11月の大統領選の候補者にバイデン前副大統領(77)を正式指名する。新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの人が録画や中継で参加する異例のオンライン形式での開催となった。

バイデン前米副大統領=14日、デラウェア州ウィルミントン(AFP時事)

バイデン前米副大統領=14日、デラウェア州ウィルミントン(AFP時事)

 4日間の日程で行われる党大会は夜のゴールデンタイムに毎晩2時間放映される。初日は、バイデン氏と急進左派との結束をアピールしつつ、ケーシック前オハイオ州知事ら共和党員も演説を行うなど同党を揺さぶる狙いも示した。

 指名を最後まで争った急進左派のサンダース上院議員は、トランプ大統領が「権威主義への道を私たちに導いている」と批判。「次期大統領としてジョー・バイデンが必要だ。ドナルド・トランプが再選された場合、私たちの進歩はすべて危機に瀕(ひん)するだろう」と述べ、支持を呼び掛けた。

 2016年大統領選でトランプ氏と共和党候補指名を争ったケーシック前オハイオ州知事は、「私は生涯の共和党員だが、その愛着より祖国に対する責任を最優先する」と述べ、バイデン氏への支持を表明した。

 この日の基調演説を行ったミシェル・オバマ前大統領夫人は、トランプ氏が「われわれにとって間違った大統領だ」と主張。「トランプ氏は大統領職が務まることを証明するのに十分な時間を過ごしたが、明らかに彼の手には負えなかった」と厳しい評価を下した。 開会中に採択される政策綱領案も17日、公表され、中国に対する政策について「自滅的で、一方的な関税戦争や新冷戦の罠(わな)に陥らない」としてトランプ政権との違いを強調。一方で「中国がもたらす経済、安全保障、人権問題の懸念に明確で力強く一貫して対抗する」とし、民主主義の価値観を共有する同盟国と連携しつつ厳しく対応する立場も示した。

 一方、トランプ氏は同日、大会初日に合わせてウィスコンシン州を訪問し、選挙集会を開いて対抗した。バイデン氏について「社会主義のトロイの木馬」だと主張し、11月の大統領選を「これまで最も重要な選挙」だと強調した。

 トランプ氏はバイデン氏が「われわれの国境をなくし、警察を排除し、子供たちを洗脳し、英雄を侮辱する過激な左派の操り人形」だと訴え、今回の選挙を左派との戦いと位置付ける姿勢を明確にした。

(ワシントン 山崎洋介)