新型コロナ ブラジル死者10万人超え
大統領夫人の祖母も
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない南米ブラジルで12日、ミシェリ・ボルソナロ大統領夫人(38)の祖母マリア・フェレイラさん(80)が新型コロナ感染による合併症を受けて首都ブラジリアの病院で亡くなっていたことがわかった。ブラジルのフォーリャ紙などが報じた。
ボルソナロ大統領は、新型コロナを「軽い風邪のようなもの」などと軽視して経済再開を優先する姿勢を取り続けており、地方自治体が独自に導入してきた隔離政策を厳しく批判してきた。大統領とミシェリ夫人も7月に感染、自主隔離生活を送ってきた。
ブラジルでは、8月に入ってからも感染スピードが衰える様子がなく、連日のように5万人近い新規感染者と千人近くの死者を出している。累計感染者は316万4785人、死者は10万4201人とどちらも世界2位で、最も感染者を出しているサンパウロ市では、市民の約18%が抗体を持っているとの最新調査もある。12日には、サンパウロ州知事のドリア氏も感染が判明した。
こうした中、ブラジル政府が契約した英アストラゼネカ社のワクチンに加えて、自治体が独自にワクチンを導入する動きが出ている。
ボルソナロ大統領と隔離政策などをめぐって激しく対立してきたドリア州知事は、独自に中国のシノバク・バイオテク社とワクチンの最終治験と製造を現地で行うことに同意した。
また、ロシアのプーチン大統領が11日に承認したばかりのロシア国立研究所製のワクチンに関しても、ブラジル南部のパラナ州が12日に現地での最終治験と製造に合意。さらには北部のバイア州もロシア製ワクチンを独自導入することに前向きだとの報道が出ている(フォーリャ紙)。ロシア製ワクチンに関しては、ブラジル政府が「詳細なデータが公開されていない」などと言明、導入に慎重になるように求めている。
(サンパウロ 綾村悟)