習主席は「全体主義の信奉者」


米国務長官 民主国家の連携呼び掛け

 ポンぺオ米国務長官は23日、西部カリフォルニア州で対中政策について演説し、中国の習近平国家主席は「破綻した全体主義的イデオロギーの信奉者」だと名指しで批判した。「自由世界はこの新たな暴政に打ち勝たなくてはならない」と述べ、民主主義国が連携して中国の脅威に対抗するよう呼び掛けた。
(ワシントン・山崎洋介)

23日、米西部カリフォルニア州ヨーバリンダで演説するポンペオ国務長官(EPA時事)

23日、米西部カリフォルニア州ヨーバリンダで演説するポンペオ国務長官(EPA時事)

 ポンぺオ氏は「共産主義の中国と自由世界の未来」と題した演説で、歴代米政権による「盲目的関与という古いパラダイムは失敗した。われわれはこうした政策に戻ってはならない」と強調し、経済発展を支援することで中国の民主化を促そうとした従来の関与政策との決別を明確にした。同政策の下で中国はむしろ強権的姿勢を強め、「恩をあだで返してきた」と非難した。

 ポンぺオ氏は、1972年に電撃訪中し対中外交の道を開いたニクソン元大統領ゆかりの記念図書館を演説会場に選び、対中政策の転換を印象付けた。一方、ニクソン氏がかつて「中国が変わるまで、世界は安全にはならない」と主張していたことに言及し、中国に変革を促す必要性を訴えた。

 ポンぺオ氏は、米ソ冷戦を思わせる厳しい表現で中国を非難し、習氏が持つ全体主義的イデオロギーが「共産主義の世界的覇権への長年の願望を説明している」と指摘。「われわれはもはや、両国間の政治体制、イデオロギーの根本的な違いを無視できない」と述べ、共産主義体制にこそ問題があるとの認識を示した。

 その上で「民主主義国家による新たな連合を築くべき時だろう」と述べ、国際的な対中包囲網の形成を模索する考えを示した。具体的な内容には触れなかったが、トランプ大統領はこれまでG7にインドや韓国、オーストラリアを加える拡大案を示している。

 ポンぺオ氏は「自由主義諸国が中国を変革しなければ、共産主義の中国が間違いなくわれわれを変えることになるだろう」とも警告した。

 また、レーガン元大統領が当時のソ連に対して「信頼せよ、しかし検証せよ」という原則で交渉に臨んだことに言及した上で、「中国共産党に関しては『信頼するな、そして検証せよ』だ」と述べ、より厳しい姿勢で臨む必要性を強調した。

 ポンぺオ氏は「中国共産党は、市民の正直な意見をいかなる敵よりも恐れている」と指摘。天安門事件で民主化を求める指導者だった王丹氏や民主活動家の魏京生氏を会場に招き、こうした反体制派による警告の言葉を「もはや無視することはない」と誓った。

 米国がテキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を命令した理由についてポンぺオ氏は、「スパイ活動と知的財産窃盗の拠点だったからだ」と説明した。