トランプ米大統領 圧倒的法執行、州に要請
暴動を「国内テロ」と批判
 トランプ米大統領は1日、黒人男性が白人警官から首を圧迫され死亡した事件の抗議デモが暴動に発展していることを受けホワイトハウスで演説し、各州知事や市長に対し「暴動収束まで圧倒的な法執行の存在を示すべきだ」と述べ、強力に対応するよう要求。知事らが州兵の増強などの対応を拒めば、「私が軍を動員する」と表明した。米軍が国内の騒乱に動員されたのは、1992年のロサンゼルス暴動以来となる。
 トランプ氏は、「私はすべての平和的な抗議活動の味方だ」と強調した上で、放火や略奪が横行している現状について「これは平和的なデモでなく、国内テロだ」と強調。さらに「国はプロの無政府主義者や暴徒、犯罪者、(極左集団の)アンティファなどに支配されている」と危機感を示した。
黒人男性の死亡の翌日に始まったデモは全米各地に広がり、1日で1週間となったが、収束は見通せない状況となっている。抗議デモは140都市に広がり、外出禁止令は首都ワシントンなど40都市以上で発令されている。
警察官は催涙弾なども用いてデモ隊に対応。一方、各地の警察官が暴徒によって銃撃や投石などの標的になり、ミズーリ州セントルイスで4人の警察官が手や脚などを撃たれたほか、アリゾナ州ラスベガスでは、警察官が頭を撃たれ重体となっている。
トランプ氏は演説後、ホワイトハウスの近くにあり、前日の暴動の中で一部が炎上したセント・ルイス教会を徒歩で訪れ、聖書を掲げながら「世界で最も偉大な国を素晴らしく、安全に保とう」と呼び掛けた。
また、死亡した黒人男性、ジョージ・フロイドさんの弟テレンスさんは、暴動について「あなたたちは何をしているのか」と述べ、平和的な抗議活動を求めた。
(ワシントン 山崎洋介)







