フランス 封鎖緩和、第2段階に


 フランスは2日、新型コロナウイルス流行に対する封鎖措置の緩和の第2段階に入り、パリ首都圏(イル・ド・フランス)を除く全土で、自宅から100キロの移動制限を解除し、カフェ、レストランなどの営業再開を認めた。

1日、パリのバスチーユ広場のカフェでコーヒーを飲むルメール仏経済・財務相(AFP時事)

1日、パリのバスチーユ広場のカフェでコーヒーを飲むルメール仏経済・財務相(AFP時事)

 パリではレストランやカフェの営業は、店先の野外テラス席、歩道スペース、駐車場など屋外席のみ許可された。

 レストランやカフェの営業再開には、感染防止策としてテーブルの間隔を1㍍以上空け、従業員がマスクを着用し、一つのテーブルを囲む人数は10人以内としている。パリジャン紙によると、業界団体のデータとしてパリで屋外テラス席がある店は約1万5000軒。ただ店側は「雨天になればお手上げだから、元の状態に戻るのは先のことだ」と眉をひそめている。

 3月15日から休業令で閉店していたパリのプランタンとギャルリ・ラファイエットなどのデパートも5月30日から、厳しい感染防止対策と共に営業再開した。美術館などの文化施設は今月初旬から段階的に再開し、ルーブル美術館やポンピドゥーセンターなど利用者が多い大型施設は6月中旬から7月初旬に自治体首長が決定する。

 一方、フランスの上下両院は、新型コロナウイルス感染の再拡大防止のため感染者と接触した人を追跡するスマートフォン用アプリの導入を賛成多数で5月27日に承認し、2日から運用が始まった。アプリ名は「Stop Covid」でスマホにダウンロードすれば、過去数日に感染者と15分以上1㍍以内の距離にいた場合、自動的に通知される仕組みだ。

 ダウンロードは任意だが、同アプリは仏政府の研究機関が開発し、行動記録を知られることを嫌う人からは批判されたが、議会では採択された。英国でも近く同様なシステムが導入される。

 一方、在宅テレワークが続く大学では、試験もネット上で行われており、仏経営大学院のビジネススクール・HECパリでは、試験中の受験者がカメラでカンニングが監視されている。口頭試験もテレワークで実施され、人工知能(AI)で受験者の表情が分析されたりすることに、学生の中からはプライバシーに問題があると不満の声も上がっている。

(パリ 安倍雅信)