民間初の有人宇宙船打ち上げ
トランプ米大統領「新時代の幕開け」
米宇宙企業スペースXが開発した有人宇宙船「クルードラゴン」が30日午後3時22分(日本時間31日午前4時22分)、フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。クルードラゴンは12分後にロケットから分離、地球周回軌道に入り、打ち上げは成功した。国際宇宙ステーション(ISS)に向けて民間の有人宇宙船が打ち上げられたのは初めて。
米国から有人宇宙船が打ち上げられたのは、2011年のスペースシャトル退役以来となる。クルードラゴンには、米航空宇宙局(NASA)の米国人飛行士2人が搭乗し、約19時間後にISSに到着。打ち上げは当初27日に予定されていたが、悪天候のため延期されていた。
ケネディ宇宙センターで打ち上げを見守ったトランプ大統領は演説で、「新たな宇宙船の発射だけでなく、わが国の宇宙への大胆で輝かしい帰還を祝う日だ」と強調した上で、「米国の大志の新しい時代が始まった」と宣言。就任以来、自身がNASAを後押ししてきたとアピールし、「われわれは世界の羨望(せんぼう)の的となるだろう。間もなく火星に到達し、歴史上で最高の武器を手に入れる」と訴えた。
NASAのブライデンスタイン長官は、打ち上げ後の記者会見で「わが国にとって重要な節目だ」とその意義を強調した。会見に同席したスペースXのマスク最高経営責任者(CEO)は「これを目標に18年取り組んできたが、実現したことが信じられない思いだ。人類が火星に到達する第一歩になることを願う」と語った。
クルードラゴンは、最長で3カ月半の滞在後、地球に帰還する。今回打ち上げられたのは試験機で、8月30日に打ち上げ予定の運用初号機には、日本人飛行士の野口聡一さんが搭乗する。
米国はシャトル退役後、ISSへの飛行士輸送をロシアのソユーズ宇宙船に頼ってきたが、費用は1人当たり8600万㌦(米メディア)と高額化していた。NASAは、宇宙船の開発を民間に委ねることでコストを低下させるとともに、自前での輸送手段獲得を図ってきた。
(ワシントン 山崎洋介)