トランプ米政権、強力な対抗策検討 香港の優遇措置取り消しや制裁も


 トランプ米政権は、中国政府が香港統制を強化する「国家安全法」を導入することに対し、強力な対抗措置を取る方針だ。ポンぺオ米国務長官は27日、声明で「一国二制度」に基づく香港の「高度な自治」は維持されていないとの判断を議会に報告したことを明らかにした。香港の自治を前提とした関税やビザ(査証)発給などの優遇措置取り消しや経済制裁に踏み切る可能性がある。

ポンペオ米国務長官

ポンペオ米国務長官=20日、ワシントン(AFP時事)

 昨年11月に成立した「香港人権・民主主義法」は国務長官に対し年に1度、香港の「高度な自治」が機能しているか報告することを義務付けていた。ポンぺオ氏は、国家安全法が「香港の自治と自由を根本的に損なっている」と批判した。

 香港問題をめぐって、トランプ氏は週内にも「強力な」対応策を講じる考えを表明している。これに関してCNNテレビは、トランプ氏が29日にも対抗措置を講じる見込みだと報じた。

 また、ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、トランプ政権は香港に対し、中国本土と同率の関税を課すなどの対抗措置を発表する可能性があると報じた。ただ、米政府による優遇措置の取り消しは、香港市民や米企業に深刻な打撃を与えるとして、慎重な対応を求める声も上がっている。

 スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は27日、電話会見で、香港人権・民主主義法に基づき、制裁を検討する考えを明らかにし、ビザ(査証)制裁や経済制裁を具体例として挙げた。一方で「香港の人々ができる限り悪影響を受けないように最善を尽くす」と述べ、慎重に検討する姿勢も示した。

 米議会でも中国の人権問題をめぐって圧力が強まっており、下院は27日、新疆ウイグル族弾圧に関与した中国の当局者に制裁を科すことを政府に求める「ウイグル人権法案」を圧倒的多数で可決した。

(ワシントン 山崎洋介)