「ステイホーム」の楽しみ


地球だより

 「ステイホーム」や「リモートオフィス」など、新型コロナウイルスの感染拡大と共に、これまでとは全く違った生活スタイルが生まれつつある。かくいう記者の家庭も、子供たちの学校が休校やオンライン授業に切り替わったことから、家族全員が家にいることが多くなった。

 ステイホームが長引く中、わが家でブームとなっているのが、料理レパートリーの拡充だ。生地から作る本格ピザや各種ケーキ、肉の燻製(くんせい)やフェイジョアーダなど、ユーチューブなどを参考に「食の楽しみ」でストレスの発散をしている。

 その中で発見したのが、南米の川魚の美味(おい)しさだ。ブラジルでよく食べる川魚には、パクーやピンタード(ナマズ系)などがあるが、特に美味しいと感じたのが、作家・開高健の小説『オーパ!』にも出てくるアマゾンの巨大古代魚「ピラルクー」だ。

 ピラルクーは世界最大の淡水魚の一つで、成魚は2㍍を超える。恐竜が住む白亜紀から生き続けていることから「生きた化石」とも呼ばれ、その容姿もなかなかのものだ。アマゾン川近辺のインディオが捕食することで知られていたが、サンパウロなどの高級料理店でも人気メニューとして提供されていた。最近は養殖が広く行われ、適価で手に入る。

 ピラルクーが何より素晴らしいのは、その白身の食感だ。とても柔らかくてプリプリしているだけでなく、川魚独特の臭みやクセがない。フライや照り焼き、天ぷらなど、どのように作っても美味しいのだ。

 日本ではなかなかお目にかかれない食材だが、コロナ禍が過ぎた後、ぜひとも南米を訪れて試していただきたい逸品だ。

(S)