初の民間有人宇宙船、あす打ち上げ 米


シャトル以来の再開

クルードラゴン

5日、「ファルコン9」ロケットの先端に取り付けられ打ち上げを待つ米宇宙飛行船「クルードラゴン」=南部フロリダ州の米航空宇宙局(NASA)ケネディ宇宙センター(AFP時事)

 米宇宙企業スペースXが開発した有人宇宙飛行船「クルードラゴン」が27日午後(日本時間28日早朝)、南部フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられる。民間企業が開発した宇宙船による有人宇宙飛行は初。米航空宇宙局(NASA)は声明で「人類の宇宙飛行の新しい時代が始まる」と強調した。

 米国では、2011年のスペースシャトル引退以来の有人宇宙飛行となる。NASAの宇宙飛行士2人が搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)まで運ぶ。

 打ち上げには、トラ ンプ大統領夫妻も立ち合う予定。ホワイトハウスは声明で、「トランプ大統領は宇宙における米国の支配を強化し続けている」と強調した。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ケネディ宇宙センターでの一般公開はされず、NASAはネット上の「仮想打ち上げ体験」などで見守ることを勧めている。

 クルードラゴンは28日にISSとドッキング。宇宙飛行士たちはISSに最長で3カ月半滞在後、再び同宇宙船で地球に戻り、フロリダ沖の海上に帰還する。

 今回打ち上げられるのは試験機で、その後運用初号機には、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんが搭乗する。

 米国はシャトル退役後、ISSへの飛行士輸送をロシアのソユーズ宇宙船に頼ってきた。こうした中、NASAは企業による宇宙船の開発を促進する「コマーシャル・クルー・プログラム」を通じて、官民協力で自前の輸送手段の獲得に努めてきた。

 米国は未来の火星有人探査を展望する「アルテミス計画」で2024年に月有人探査を再開する予定で、そのためNASAはISSでの実験に取り組む必要を指摘していた。クルードラゴン打ち上げが成功すれば、ロシアによる独占状態に終止符を打ち、月や火星の有人探査への道筋を付けることになる。

(ワシントン 山崎洋介)