新型コロナで中国、フォロワー数を人為的に拡大
ツイッターで偽情報工作
米政府は、中国が新型コロナウイルスに関する偽情報の拡散を活発化させているとして非難を強めている。米国務省は8日、中国が外交当局者のツイッターアカウントのフォロワー数を人為的に急増させている疑いがあると指摘。新型コロナの起源が中国以外にあるとの主張を広めつつ、世界を危機から救うリーダーとの印象を浸透させようとしていると批判した。
米国務省が非難
米国務省グローバル・エンゲージメント・センターのリー・ガブリエル特別代表は同日の電話会見で、「中国の宣伝と偽情報を拡散させる目的で作成されたとみられる不正なツイッターアカウントのネットワークを発見した」と表明。新型コロナの感染が世界に広がる中、中国が情報工作を強化させていると訴えた。
ガブリエル氏によると、中国の外務省や在外公館の当局者のツイッターアカウントを追跡したところ、2月まではフォロワー数の増加が1日当たり約30人だったが、3月以降は1日当たり720人以上と約22倍に急増。その多くは新たに作成されたアカウントであり、その特徴や内容などから、「中国共産党が関与している可能性は非常に高い」と主張した。
同氏は「中国の外務省や在外公館の主張を拡散するために人為的なネットワークが構築されていることを示している」と指摘。その上で「中国はロシアの偽情報手法を採用し、混乱を引き起こし、中国が新型コロナの起源でないと人々に信じ込ませようとしている」と非難した。
ツイッター社は8日、国務省から中国当局の関与が疑われる約5000件のアカウント情報をすでに受け取ったとし、「確実に国家が支援する情報工作活動と特定した場合には公開する」との声明を出した。一方で、同社の初期段階の調査では、国務省が報告したフォロワーの中には中国当局の見解を支持していないアカウントも多く含まれていたとも指摘した。
ガブリエル氏はこれ以外にも、中国がネット世論を操作する「トロール部隊」や国営メディアなどを通じて活発な情報工作に取り組んでいるとし、「中国は、世界に対し自国をパンデミックの原因ではなく、危機対応における世界のリーダーに見せようとしている」と強調した。
さらに、「中国のこうした取り組みはさまざまな場所で裏目に出ており、多くの外国政府、学者、メディアが中国共産党の偽情報や宣伝工作を非難し、中国に透明性を要求する米国政府に賛同するようになっている」と述べ、他国と協力しながら対応する考えを示した。
(ワシントン 山崎洋介)