ブラジル保健相を解任


大統領、隔離措置めぐり対立

 新型コロナウイルスの感染拡大で危機的状況に直面しているブラジルのボルソナロ大統領は16日、隔離政策などをめぐって意見が対立していたマンデッタ保健相を解任した。後任には医師のタイシ氏が起用された。新型ウイルスの脅威に直面するさなか、対策の要となる担当閣僚を解任するのは異例の事態だ。

マンデッタ保健相

ブラジルのマンデッタ保健相(16日に解任)=14日、ブラジリア(AFP時事)

 ボルソナロ氏は、かねてより新型ウイルスを「軽い風邪のようなものだ」と軽視し、サンパウロ州をはじめ各自治体が導入する外出禁止令や商業活動停止などの隔離政策を「経済が崩壊する」として反対してきた。自宅待機は重症化率が高い高齢者に留(とど)めるべきだと主張している。

 これに対し、医師でもあるマンデッタ氏は、自宅待機や公共交通の制限など隔離政策が感染抑止につながると主張。ボルソナロ氏との溝は深まるばかりで、解任は時間の問題とされていた。

 ブラジルでは、16日までに中南米最多の3万425人の感染者(死者1942人)が確認されており、2月25日に初の感染者が出てから加速度的に増えている。最新の研究では、検査体制の不備などから実際の感染者は公表数の7~12倍存在するとの報告も出ており、一部の公立病院では重症患者の受け入れ能力に限界が来ている。

 専門家は5~6月がブラジル国内の感染ピークになると予測し、医療崩壊に備えるべきだとしているが、ボルソナロ氏は経済重視の姿勢を続けるものとみられる。

 有権者の過半数が自治体が独自に出している外出禁止令に賛成し、ボルソナロ氏の辞任を求める声が出る一方、外出禁止令の解除を求めるボルソナロ支持派のデモも発生している。

(サンパウロ 綾村悟)