米、WHO資金拠出停止 新型コロナ


トランプ氏「中国寄り」批判

 トランプ米大統領は14日、ホワイトハウスでの記者会見で、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス対応の過ちを検証する間、資金拠出を停止するよう指示したと発表した。トランプ氏はWHOの「中国寄り」の対応が感染拡大を招いたとして、「米国は完全な説明責任を求める義務がある」と訴えた。

トランプ大統領

14日、米ワシントンのホワイトハウスで記者会見するトランプ大統領(AFP時事)

 トランプ氏は、新型コロナについてWHOが「中国の誤った情報を広め、人から人へ感染しないとし、渡航禁止措置の必要はないと述べた」と問題視。同機関が早い段階に医療専門家を中国に派遣した上で状況を客観的に評価し、中国の透明性の欠如を指摘していたら、「感染拡大は限定的で、死者も非常に少なく済んだだろう」と非難した。

 トランプ氏はまた、中国からの渡航禁止措置にWHOが反対したことについて、「最も危険で破滅的な決定」だと強調。国境管理がウイルス対策の基本だとし、「他の国々も米国のように中国からの旅行を一時停止していたら、無数の命が救われただろう」と主張した。

 さらに、新型コロナをめぐり中国で科学者や医師が失踪したり、ウイルスの発生源に関する研究の公開が制限されていることにWHOが「沈黙している」と批判した。

 トランプ氏は、検証は60~90日間にわたるとし、その間、「引き続きWHOと関わり、有意義な改革ができるかどうかを見極める」との考えを示した。米国の拠出額は年間4億~5億㌦程度で、最大の負担国となっており、停止することでWHOの運営に大きな影響を与えることが予想される。

 与党・共和党議員など保守派は、WHOが中国に過度に配慮したことで、国際社会が新型コロナに備える準備が遅れたとしてテドロス事務局長の辞任を求めるなど、同機関への非難を強めていた。一方、グテレス国連事務総長は同日、新型コロナ対策に取り組む中、「WHOの活動に対する資金を削減する時ではない」と訴えた。

(ワシントン 山崎洋介)