米司法省がベネズエラ大統領起訴


情報提供に懸賞金16億円

 米司法当局は26日、南米ベネズエラの反米左派ニコラス・マドゥロ大統領とパドリノ国防相ら政権高官14人を麻薬密輸や資金洗浄などに関与した罪で起訴したと発表した。マドゥロ氏の身柄拘束につながる情報に1500万ドル(約16億円)、他の政権高官には1000万ドルの懸賞金を出す。

マドゥロ・ベネズエラ大統領

米麻薬取締局(DEA)によるマドゥロ・ベネズエラ大統領の指名手配書

 米司法省は声明で、マドゥロ政権がコロンビア最大の左翼ゲリラだったコロンビア革命軍(FARC)を20年以上にわたって支援し、米国内に大量のコカインを密輸してきたことを「麻薬テロ」と非難した。FARCは、2016年にコロンビア政府と和平合意を締結、現在は武装放棄をした上で合法政党として活動している。

 トランプ米政権は、マドゥロ大統領の正統性を認めておらず、グアイド国会議長を暫定大統領として承認している。また、ベネズエラの国営石油公社の資産凍結を行うなど厳しい経済制裁を科している。今回の起訴を受けて、米国務省は「ベネズエラ国民は麻薬密輸に手を染めた政府ではなく、国民のために働く透明性ある政府を受け入れる権利がある」とする声明を発表。これに対し、マドゥロ政権は起訴に強く反発している。

(サンパウロ 綾村悟)