スーパーチューズデー、バイデン氏が9州制し躍進


ブルームバーグ氏は撤退表明

 米大統領選の候補者指名争いは最大のヤマ場となる「スーパーチューズデー」の3日、予備選・党員集会が14州・1地域で一斉に実施された。中道派のバイデン前副大統領(77)は南部テキサス州など9州、急進左派のサンダース上院議員(78)は西部カルフォルニア州など4州で、それぞれ勝利を確実にした。

バイデン前副大統領

3日、米カリフォルニア州ロサンゼルスで、支持者から声援を受けるバイデン前副大統領(中央)(AFP時事)

 バイデン氏は、大票田のテキサス州を制したほか、ノースカロライナ、バージニア、テネシー、アラバマ、オクラホマ、アーカンソーの各州で勝利するなど黒人票の多い南部で強さを見せた。また中西部ミネソタ州に加え、急進左派のウォーレン上院議員(70)の地元東部マサチューセッツ州でも予想外の勝利を収めた。

 一方、サンダース氏は、最も代議員の数が多いカルフォルニア州で大きくリードしているほか、ヒスパニック系の有権者が多いコロラド州や地元東部バーモント州、ユタ州を獲得した。

 序盤戦に苦戦したバイデン氏は、サウスカロライナ州で大勝した後、撤退を表明した中道派のブティジェッジ前サウスベンド市長、クロブシャー上院議員、オルーク前下院議員らから相次いで支持を受け、穏健派の支持層の票を一気に集約。直前まで投票先を決めていなかった有権者の票の多くがバイデン氏に流れ、当初劣勢とされた状況から劇的な巻き返しを果たした。

 バイデン氏はカリフォルニア州の集会で「数日前、マスコミと評論家はわれわれの選挙戦が死んだと宣言したが、しっかり生きている。選挙戦は今始まった」と訴えた。一方、サンダース氏は、バーモント州の集会で「指名を獲得すると絶対的な自信を持って言うことができる」と主張した。

 指名争いは州ごとの得票率に応じて各候補に代議員が割り当てられる仕組みのため、大票田のカリフォルニア州などで、どの程度差がつくかも重要となる。

 今回、本格参戦した中道派で大富豪のブルームバーグ前ニューヨーク市長(78)は、米領サモアで勝利を確実にしたものの、バイデン氏の勢いに押され振るわず、4日に指名争いから撤退、バイデン氏支持を表明した。

 今後、指名争いは、党内の中道派と急進左派をそれぞれ代表するバイデン氏とサンダース氏の「2強」を軸に長期化する見通しとなっている。

(ワシントン 山崎洋介)