ゴラン高原のイスラエル主権、米大統領が支持表明


アラブ諸国の反発も

 トランプ米大統領は21日、ツイッターで、イスラエルが占領しているゴラン高原について「米国はイスラエルの主権を完全に認める時期が来た」と表明した。米国の長年の政策を大きく転換させることになる。昨年の米大使館のエルサレム移転に続き、親イスラエルの立場を改めて鮮明にさせた形だが、アラブ諸国の反発も予想される。

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 トランプ氏は、ゴラン高原について「イスラエルと地域の安定にとって、戦略面と安全保障面で死活的に重要だ」とも強調した。

 イスラエルは1967年の第3次中東戦争でシリアからゴラン高原を奪って占拠し、81年に正式に併合した。一方、国連や他国はイスラエルの主権を認めていない。

 イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ氏の判断について「イランがシリアをイスラエル破壊のための足場として利用する中、トランプ氏は勇敢にもゴラン高原の主権をイスラエルに認めた」と謝意を示した。

 イスラエルは、シリア内戦が長引く中、イランの影響下にあるイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラなどが影響力を強めていることを警戒。米国に戦略上の要衝となるゴラン高原の主権を認めるよう求めていた。

 トランプ氏によるゴラン高原のイスラエル主権承認は、4月9日に選挙を控えたネタニヤフ氏の再選を後押しするほか、親イスラエルの方針を打ち出すことで、キリスト教保守派やユダヤ系団体からの支持を固める狙いがある。

 一方、シリアのアサド政権は22日、声明を発表し、トランプ氏がゴラン高原に対するイスラエルの主権を認めたことについて、イスラエル寄りの「無分別な偏見だ」と非難。アラブ連盟のアブルゲイト事務局長も声明で、ゴラン高原に対するシリアの主権を「全面的に支持する」と表明した。

(ワシントン 山崎洋介)